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それから01

―蛍side― 「甘すぎませんか?」と莱耶が冷ややかな目で、俺を睨んできた。  白いベッドシーツに横になっている俺に、白いワイシャツだけを羽織った莱耶がデコピンをした。  俺が退院してから1か月が過ぎた。親父と智紀は、親父のマンションでいつも通りの生活に戻った。俺は、小森の屋敷に戻った。違うのは、小森の家で莱耶も一緒に暮らしている。  神崎派の人間は一掃した。俺が入院中に、翔と莱耶、カイルで、処分したらしい。  俺にはすごい強い味方だちに囲まれている。俺が何もしなくても、俺の過ごしやすいように環境が整えられていた。 「甘い……かもしれない」 「『かも』じゃない。甘いんです。僕だったら生かしておかない。あんな女」  ふんっと莱耶が鼻を鳴らして、ベッドに荒々しく腰をかけた。 「莱耶が怒ってくれるから。俺は満足」 「は? 満足? どこが? 僕は満足なんて出来ない。この屋敷、あの女がいるのかと思うだけで、胸がムカムカして吐き気が止まらない」  莱耶が俺の上に跨る。まだ眠くて、ベッドで横になっている俺の胸に手を置いて、莱耶がキスをしてきた。 「……ん、んぅ」と莱耶が色っぽい声を出して、俺の乳首を軽くつまんできた。 「誘ってるの? 莱耶」 「ええ。ムカムカして苛々が止まらないんです」 「3時間前まで、乱れたのに」 「もっと……シテよ」  ワイシャツの下に何も身に着けていない莱耶が裾をめくりあげて、にっこりと笑った。 「あと1回だけな」  俺は莱耶の手を掴んで、体制を変えた。莱耶を下に組み敷いてから、莱耶の足を広げた。 「莱耶さんは?」  部屋を出ると翔が、訪ねてきた。廊下で俺が出てくるのを待っていたようだ。 「寝てる。寝かせておいて。親父にも連絡いれてあるから、大丈夫。優衣の様子は?」  廊下を歩きながら、俺は隣を歩く翔に聞く。翔が、暗い表情になると首を左右に振った。 「こちらに来てから、食事もとらず、真っ暗な部屋でただ座っているだけ。点滴をいれますが、目を離すとすぐに抜いてしまって……困ってます」 「そうか。大学に行く前に、優衣に会おう」  え? と翔が小さく驚いた声をあげた。 「なんのために莱耶を気絶させるまでヤッたんだと思う? 莱耶が起きてたら、絶対に会わせてくれないから」 「甘いお方だ」 「莱耶にも朝、それで怒られた」  俺は肩をすくませてから、笑った。  確かに甘いんだろう。俺を殺そうとした優衣を許してるんだから。

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