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第4話
「………ルーク、今日も来なかった」
閉店準備をしながら、朱鷺はずっと入り口の方を見ていた。毎朝来ていたはずのルークが、ここ2、3日来ていないのだ。心配になって何度か連絡を入れたが、その返事もいまだに返ってこない。
本心は、いろんなものを投げ出してでもルークの元に行きたい。しかし、ルークがどこの会社の社長をしているのか分からないのだ。何度も聞いたが教えてはもらえず。だから、朱鷺が自分から会いに行くことは出来ない。
会いたければ、連絡をして待ち合わせをしないといけないのだが。連絡すら通じない。
「………朱鷺。そう落ち込むなって」
「………俺はルークに嫌われたんですかね」
「そんなわけないだろ。ルークは、絶対に嘘で愛を囁いたりしない男だと俺は思う。それは、ずっとアタックされ続けたお前なら分かるだろ」
確かにそうだ。
ルークと出会った瞬間、朱鷺は一目惚れした。しかし、自分から想いを伝えることはしなかったのだ。今まで女の子の方からアタックしてくれていた。そんな自分が、大好きだから付き合ってとか言うのがプライド的に許せなかった。
だから、頑張ってルークにお色気作戦を実行して好きになってもらって。それでアタックしてもらっていたのだ。
ルークは誠実な男だ。
無理矢理自分の想いを押し付けることはなく、押すときは押す、引くときは引くと、上手に駆け引きをして朱鷺にアタックし続けた。
ルークのことは大好きだったが、すぐに堕ちる簡単な男だと思われたくなくて。朱鷺はいっぱい焦らした。
焦らして、焦らして、自分も付き合えない焦れったさに耐え続けて。そして付き合い始めたのだ。
「ルークのことは信じてるんです」
「それで?」
「でも、怖いんですよ。もしかしたら、会社を理由に別れを切り出されるかもって」
「ん?それ、どう言うこと?」
「いや、ルークのご両親が反対するかもって。跡継ぎを作れ――!!とかさ」
朱鷺がそう言うと、汰樹はお腹を抱えて笑った。
「兄さん。何笑ってるんですか。俺、本気で言ったんですけど」
「いや、バカな考えしてるなって。今時さ、自分の子供に会社継がせたいとかあんまないって。優秀な奴に継がせるよ」
「でも、親父は俺に」
「それは、経営に関してはお前が優秀だって認めたからだろ。それに、ルークの両親はそんな人達じゃないって」
「………………ルークの両親はそんな人達じゃないって?」
汰樹の言葉に引っ掛かって。朱鷺はジロリと睨むように汰樹を見た。
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