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chapter.1-3

『――…Hello, thank you for calling the Los Angeles office of Raven Investigation Company. I am terribly sorry. Our business hours are from…(お電話有り難う御座います、R.I.Cロサンゼルスオフィスです。大変申し訳ございませんが、営業時間は…)』 部屋を冷ますかの如く、いつもの淡々とした応答文が流れる。 『Please leave us a message at the tone.(発信音の後にメッセージを残して下さい)――…ピッ…――…あ、もしもし本部の牧ですけど』 掛けてきたのは身内だった。 しかし何故こちらに連絡したのか、意図が分からず首を傾げる。 『携帯に繋がらないんでこちらに失礼します、実は何というか…ちょっと面倒な事態になってまして』 そう言えば昨晩充電を切らしたままだった。 青ざめる萱島を他所に、戸和は只々デスク上の電話を睨んでいる。 『どうも数週間前から社長に連絡が取れなくて。今まで居なくなる事はあったんですが、副社長の電話にも出ないのは何かあったんじゃないかと…』 「えっ」 黙って聞いていた萱島の声が裏返る。 次いで戸和と顔を見合わせたかと思えば、矢庭に上体を跳ね起こした。 「しゃ…社長死んだ!!」 「死んだとは言ってない」 『――…うーん、流石に数週間ともなるとね。捜索届けなんかは出したんですけど、会社の方も支障が来てまして』 そりゃそうだ。別に家畜の手綱を握っていただけでなく、一応それなりに忙しく経営やらも回していたのだから。 『悪いんですけど、いったんそっち閉めて帰ってきて貰えます?』 相も変わらず人の好さそうな声が、呑気に要旨を伝える。 経緯はどうとして、仰ることは大変良く分かった。

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