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chapter.1-4

スピーカーの音声が途絶え、萱島は中途半端に身を起こしたまま青年を見やる。 「…まあ仕方ない、受注止めて帰るとするか」 「社長大丈夫なのかな?ま、まさかもう…」 「お前はさっきから死んでて欲しいのか?」 優しいのか酷いのか、勝手に顔色を悪くしている萱島の額を叩く。 小さく悲鳴を上げたのち、はっと我に返った責任者は漸く顔を上げた。 「こうしちゃ居られない…!千葉くんに早く連絡しないと!」 「そうだな、メールは今打っといた」 「はやっ!」 「別に仕事は向こうでも出来るしな、取り敢えずは…」 ついと視線がまた萱島へと移る。 もう事の経緯を失念した相手は、乱れた着衣のままきょとんと続きを待っていた。 「千葉が戻ってくる前に終わらすか」 「…うん?終わら…いや、ちょっと…ちょっと戸和くん」 脚を掴まれ、再びソファーへ引き倒された萱島が断末魔をあげる。 色気の無い抵抗も束の間、数秒後には朝らしからぬ嬌声が締め切った事務室へ反響していた。          Chapter.1         Jolly Roger         - 海賊旗 - 「でも懐かしいなあー、何年ぶりだろ?」 「1年は経つんじゃないか」 諸々の(緊急性のない)用事も終え、2人は翌日にはLA支部を後にしていた。 日本自体が久々になるが、我らが実家…本部ともなると、年末年始に一度帰る程度の話である。 長旅の余韻も冷めぬまま。 萱島は喜び勇んでエントランスを潜り、久方振りの空気を吸い込む。 最近また改装したと聞いていたものの、内部を見る限り働いていた頃の空気そのままだ。 「…なんかドキドキするね」 「そうか?いつ来ても陰気な場所だよ」 「前から思ってたけどゾンビ化するウイルス作ってそう」 「施設内に漏洩して特殊部隊が突っ込むやつな」 あの映画に絡めて遊んでいたら、懐かしい突き当りの休憩所が見えてきた。 配置も何一つ変わらない。 自販機前で立ち話していた人影が、来客に気づいて振り向いた。

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