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chapter.1-11

「そう言えば本郷さん、先ほど未だ当たってない場所があると伺いましたが」 「…ある」 戸和の切り出しへ口を噤むや、不意に明後日を睨んだ。 奇妙な本郷の様子へ一同は首を傾げる。 「…や、っていうか多分其処だわ…何か確定な気がしてきた」 「え!?何…どこの事?」 「御坂んとこ」 あ、察し。 面識のある2人が、因果数をも捻じ曲げそうな男を思い出す。 「奴も連絡がつかんから、近々直接研究所に行こうと思ってたんだよ。アイツ昔からキレて俺らの戸籍とかも勝手に消してたし」 「やだ怖い」 「まあご友人が噛んでるなら、未だ安心な気はしますけども」 牧の真っ当な解釈へ確かにと納得する。 いかれてはいるが、何だかんだ身内は大事にする人間だ。 ただ如何せん、その線で確定した訳でもない。 本郷は三度連絡を試みたのち、舌打ちして上着を引っ手繰っていた。 「この状況放り出して悪いが、今から行ってくる。黄昏への入り口についても調べといてくれ」 「トワイライト・ポータルって呼びましょうよ、恥ずかしいから」 「長いんだよ」 ぞんざいな捨て台詞を残して去って行く。 本郷が消えるのを見届け、牧はぽつりと上司の暴言を指摘した。 「…いや字数変わらんでしょ」 郊外の独立国家へ車を走らせながら、本郷は苛々と現在までの動向を整理していた。 先ず連絡を寄越さない神崎。 考えられるのは死んでいるか、出来ない状況の2択だ。 まさか連中と結託して社員をドナドナした、なんて事はないだろう多分。 次にしれっと現れた黄昏への…トワイライト・ポータル。 牧らに裏を取るよう頼んだが、先ずは信用調査が必要だった。 そもそも実態として存在しているのか、本郷はその段階から疑っている。 あの遠慮のない大胆さ、どうも表の人間かも怪しい。

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