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chapter.1-14

「――Avast, there!!(やめろお前ら!)」 やや高音の怒声。端的な命令口調。 一同が揃って上を見上げれば、屋根の上にはスーツの女性が仁王立ちしていた。 「ほ、補佐官…!」 「何をしている!その方は敵でないと説明したろ!」 「し、しかしこのゴリラが…」 未だ言うか。本郷が反論しようとした矢先、屋根から飛び降りた彼女が膝蹴りをかます。 男は今度は呻きもせず地へ伏し、路地裏は見事に静まり返っていた。 「…部下が大変失礼を致しました、お怪我は御座いませんか」 「や…大丈夫ですが」 青い髪に青い瞳。どう見ても異国籍だろうが、彼女も綺麗に日本語を使いこなしている。 「どちら様でしょうか」 「実は…以前一度だけお会いしたのですが、覚えてらっしゃいませんでしょうか」 凛とした切れ長の瞳を注視する。 言われてみれば、確かに。この顔何処かで。 「!…御坂の研究所か」 「流石で御座いますね、その際も中途半端な挨拶で失礼しました」 謝罪するや相手は上着を探り、丁寧に名刺まで差し出す。 記載された組織名を視認した。 知らん機関名ながら、頭についた略称へ本郷はつい黙り込む。 「私、御坂の補佐官をしております。Cipher(サイファ)、とでもお呼び下さい」 「…あの、つまり御坂先生のお使いか何かで…いらっしゃったのでしょうか?」 「左様ですが…どうぞそんな丁重になさらないで下さい、唯の一介の役人で御座います」 銃を仕舞ったサイファは機敏に辺りを見渡し、気配を確認しつつ道を示す。 「申し訳ないのですが、一度私の車へご乗車頂けますか。外は誰の目があるかも分かりませんので」 「理解したが…遥の件と関係が?」 意図して声を潜めた内容へ、彼女の鋭い瞳が狭まった。 「…ええその件です、車内ですべてお話致します。事の経緯も、彼の居場所も」 最後の言葉へスタッカートを利かせる。 その提言へ衝撃を受けつつ、矢張り御坂が噛んでいたかと呆れながら背中を追い掛けた。

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