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chapter.1-26

『――牧、面談お前の番だぞ』 2つのシルエットを見送る中、インカムへ業務連絡が入る。 簡素な受け答えのち、牧は億劫な足取りを会議室へと急かした。 さて、実は戸和の身元や何やかんや…襲撃の真相に至るまで、ざっくり搔い摘んだところは社長から聞いている。 諸々の接点から今回の件に絡んでいるとして、気になるのは大別して3点だ。 1、目的。何故10年以上前の故人を追い掛け、中東くんだりから日本までやって来たのか。 2、情報源(ソース)。何故だか移植を受けた対象までは特定出来ておらず、中途半端な情報量である。一体誰からそれを受け取ったのか、限られた繋がりを洗えば目的へ帰結出来る気もするが。 3、正体。これは目的の解明とほぼ同義かもしれない。少なくとも唯の商社では無さそうだし、先に見た武装勢力との繋がりも気になる。 (中東と言えば…滞在してたのは寝屋川隊長か。だが彼を捜している訳でも無さそうだし) おまけにこの窮地に居なくなり、詳細すら寄越さない本郷。 連絡は出来る状況にも関わらず一切を話さないのは、意図的にそうしたのか、それとも誰かの圧力が働いてのことなのか。 (確か社長の友人に会いに行くって言ってたよな) どうもその方面がきな臭そうだが、萱島らは其方へ向かったのか。 あれこれ考え込んでいる内に、いつの間にか目前には会議室が迫っていた。 「牧主任ですね、どうぞ中へ」 「…あ、ハイ」 欧米人の巨体に圧されつつもドアをノックする。 返答にノブを回せば、会議室には想定以上の人員が待機していた。 「――いらっしゃい牧、どうぞお掛けになって」 今日も今日とて存在感凄まじい、中央に座したカレン・デリンジャーが促す。 牧が黙って対岸に掛けるや、彼女は申し訳程度に履歴書を眺めながら口を開いた。 「突然無理を言ってごめんなさいね、こっちも色々立て込んでて…簡単な確認だけだから、そう固くならないで頂戴」 室内にはカレン、補佐のジル、プラス5名。 記録係と後は何の要員か、密かに視線を走らせた牧は片眉を上げた。

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