28 / 248
chapter.1-28
「カレン…!お言葉ですが、個人的な接触は上から止められていますよ!」
(うわ、口出してきた)
コイツも除外である。
口を出すほどの間柄、彼氏なんてオチなら只管に面倒臭い。
「何言ってんの?唯の昼食如き構わないわよ」
カレンが部下を宥める隙間を逃さず、さっと残りへ視線を這わせる。
すると部屋の隅、マッシュヘアーの青年が十年来の仇の様に此方を睨んでいるではないか。
「…っ!」
(お)
視線がかち合った刹那、慌てて他所へ顔を背ける。
その初心な反応を目に、牧は思わず頬杖を突いてほくそ笑んでいた。
(みーつけた、使えそうな奴)
この男へ折を見て接触を図る。
計画の目的などと核心に至らずとも、連中がこっちに構えた根城でも割れれば釣りが来るのだから。
「和泉、目星ってさっき話してたこと?」
「ああ…それと派生してもう一つ」
その頃本部を後にした萱島と戸和は、神崎の自宅へと車を走らせていた。
一旦落ち着いて状況整理をしたいのと、彼の部屋を調べて少しでも痕跡を追う為だ。
「随分前に俺が中東に居た…って言ったの覚えてるか」
「え、うん…んん?」
引っ掛かった萱島が助手席で声を裏返す。
そう言えばあれは初めてデートをした休日。食事の合間、とんでもない経歴を聞かされた覚えはあったが。
「な、なに?知ってんのもしかして?」
「いや、トワイライト・ポータルなんて連中は知らない。ただ以前、俺達を雇用していた男はお前も知ってるだろ」
ともだちにシェアしよう!