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chapter.2-16

「畢竟するに全ては私の職位に則った行為であり、違法性は無いという結論です。何かと私を法廷送りにしたがるサーですが、私が貴方様の隣に居るメリットをお考え下さい。そうすれば多少私が近辺を盗聴していようが、シャワー室を覗こうとしていようが些細な事で…」 「サイファ、中東の件は」 簡潔な督促へマシンガントークがぴたりと止む。 廊下を追従しながら、副官は待ち構えていたとばかりにスマホへ纏めていた報告書を音読した。 「良いニュースは御座いませんので、悪いニュースだけ失礼します。ISILは支配領域拡大と共に、急ピッチで国家体制を構築しています。UNSCは周辺国の紛争誘発、人権委員会は難民増加を指摘…連中はWEBサイトで過激な広報活動も展開しており、今後も若者の流入が予想されるかと」 「UNSCの動きは」 「資金源の根絶…経済制裁から予定している様です」 執務室を目指す傍らにも、擦れ違う職員らが面白いように振り返る。 サイファはモーションで散るよう威嚇しつつ、主の戻った牙城を改めて見渡した。 「しかし悠長な事も言ってられませんサー…USAが丹精込めて育てた現地治安部隊は武器を捨てて敗走し、多くを無傷で鹵獲される始末」 「まさしく問題はそのUSAだサイファ、恐らく再来月にも痺れを切らしてスティンガーⅡで飛び回る。新たな火種が投下された事で、シリアの代理戦争を向こう100年続ける気だろう」 「はあ…成る程。インターネット然り、他所の炎上を手薬煉(てぐすね)引いて待つ連中が居るという事ですね」 この例のない緊張状態で、御坂が帰還したのは唯一の朗報だった。 事実颯爽と敷地を過ぎるだけで、認めた周囲へ次々と安堵の色が広がるのだから。

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