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Chapter.3-7
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「Shit!午後一の電話なんて出たくねえ!」
窓もすべて防弾シェルターに覆われ、何処となくRICを思わせるTP本部。
昼時を越えた現場は活気も無く、お下品な職員の駄々すら露骨に響く。
「どうせ例のクレーマーだ!小姑より几帳面にこの時間に掛けてきやがる」
「だからってコールが五月蠅いのよ、さっさと腹を…」
言い合いの隙間、別の手が子機を取り上げた。
驚いた両者が目を上げれば、今朝来た新人がラップトップ片手に応答している。
「――お電話有難う御座います、トワイライト・ポータル本社…はい?どうされました」
よほど使える新人に閉口する。おまけに耳を澄ませば、今朝がた文句を言われた容認発音は綺麗になりを潜めているではないか。
「ええ、確認します…お待ち下さい」
呆けていた矢先、彼にトントンと肩を叩かれた。
ラップトップの画面を向け、自分に請求書の在処を問うているらしい。
職員は急いで共有フォルダへ入り、データベースの所在を示してやる。
確かロウ、などと呼ばれていただろうか。妙に高そうなスーツを着た彼は、柔らかい笑みのち子機を手に出て行った。
「…すげえ良い匂いがしたな?」
「したわね。婚期逃したメス豚共が騒いで、直に猛獣動物園よ此処は」
「豚は猛獣なのかよ」
「豚の食欲舐めんじゃないわよ」
その過激な揶揄の通り。
電話を終えた頃には、彼は見事に曰く“メス豚共”に退路を塞がれていた。
「ねえ、木曜と金曜の予定はあるの?」
「木曜と金曜?」
助けてやろうか考える間に、既に右腕には一匹が絡みついている。
「聞いてなかった?定休日が木曜と金曜なのよ、空いてるなら此処の施設でも案内してあげるけど」
「ああ、定休日か…有り難い申し出だけど、案内なら他に頼んでるから大丈夫」
「他?他って誰よ」
道を塞ぐ一人が声を荒げた。
ぎゃあ、この言葉尻ひとつで喰われそうな空気。本郷はつい過去へ視線を泳がせる。
誠に久し振りかつ、嫌な件が多々思い出される。
一先ずはこの場を去りたく、悩んだ末に正直な回答を選択していた。
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