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chapter.3-12
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『――諸注意。
闇を必要とする者へ、この言葉を送ろう。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』
「…何この中二病みたいな警告」
曰く、渉から送られてきた“ガイドブック”へ鼻白む。
社長捜索班としてR.I.Cから離脱した萱島は、戸和と共に少々グレーな情報収集を試みていた。
“ダークウェブ”。
所謂アンダーグラウンドのネットワークであり、麻薬から医療器具、果ては暗殺依頼まで流れる(と噂される)闇市場だ。
特殊なブラウザを通さねばアクセス出来ず、また興味本位で立ち入るのも宜しくない。
但し到底素人には取れぬ情報が回るのも事実で、胡乱なTPの実体を探るにはお似合いだった。
「おい、何で渉はあんなに口悪くなってんだ」
電話を手に戻るや、少年からレクチャーを受けていた戸和が苦言を呈す。
「何でだろう…環境のせいかな」
「間宮のせいだ。まあ良い、Torの使い方は大体聞いてきた」
萱島の隣へ腰を据え、会社から持ち出したラップトップを広げる。
興味津々で覗き込めば、玉ねぎマークの不思議なブラウザが立ち上がっていた。
「Javaと…幾つか設定を少し弄って秘匿性を上げれば良いらしい。後はサイトの場所だが、渉が知ってるマーケットを使う」
「あのう、渉くんは何でそんな場所を知っているんですか」
「知らん。入れたぞ沙南、此処に情報専用の取引所があるらしい」
「そんな所見てるから歪んだんじゃないですかね」
画面に現れたのは一見唯の掲示板だが、深く階層へ潜れば変化した。
白い淡泊なデザインの下、通販サイトの様に雑多な商品が並んでいる。
「薬、薬、何かのパーツ、医薬品、薬…」
「案の定ドラッグだらけだな。さっさと掲示板で目当ての物だけ聞くぞ」
そうか何やら、不特定多数へ提供依頼を出す形なのか。
書き込みは有料で、時間単位で追加料金が発生。おまけに書き込まれた本文の表示にも別途料金が掛かるらしい。マージンは相当だろうから、収益構造としてはなかなか優秀だった。
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