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chapter.3-13
『トワイライト・ポータル社に関する情報を求めています』
随分と端的な書き込みだが、それで良いのだろうか。
萱島が隣を覗けば、手持ち無沙汰になった相手が見返している。
「…眠そうだな」
「眠くないよ」
掲示板は放ったらかすとして、他にも存在するマーケットを知りたい。
その件を問おうとした先、隣から伸びた腕が肩を引き寄せた。
「おい」
殆ど耳元の声に固まれば、案の定追及が降ってくる。
「肩を抱いたくらいで赤面するな」
「…すいません」
ごもっともな指摘だが、この空気をどうしてくれよう。
生来の生真面目さから狼狽していると、視界でディスプレイの一部が様変わりした。
「はっ…!書き込み有難う御座います!」
物言いたげな視線を他所にラップトップを奪い取る。
急いで詳細を確認すれば、この短時間で3件ものレスが付いていた。
『Re.1 title:本社位置知りたい?』
その件は知っている。これは本文は見ずスルー。
『Re.2 title:あそこやばいよ』
どうも確かな情報が無さそうだ。加えて頭が弱そうなのでスルーする。
『Re.3 title:入場券を買うといい』
最後のレスには指が止まった。
入場券が比喩なのか何なのか、惑う横から戸和が本文を開いた。
『no name:連中が運営しているテーマパークがある。
入場券が必要だから、ここで買うといい』
下部にはご丁寧にURLまで貼ってある。
今だ頭は追いつかぬながら、2人は早々と次を求めてリンクを開いていた。
「…ネットオークションサイトだ。『フィッピーランドの入場券』…?最低落札価格は…$25000」
ちょいとゼロが多過ぎる。
目を白黒させている萱島の隣、戸和は数秒間考え込んで入札を押す。
「気にするな全部経費だ。10万ドルもあれば足りるだろ」
領収証に“お前を捜す費用”と書いて、後日社長に叩き付けるのか。
そもそも胡散臭い匂いがぷんぷんしたが、溺れる者は藁をもつかむ。結局あれよあれよという間に取引は進み、数時間後にはメーラーへ電子の“入場券”が届いていた。
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