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chapter.3-18
庭園の裏に外れ小屋を見つけ、この建物かと駆け込む。
幸いテーマパークにありがちなハリボテでもなく、狭いながら身を落ち着けることが出来た。
「えーっと…パンフレット、パンフレット」
既によれよれになった四つ折りを広げる。
内容は日本語で、戸和が発した「ゲーム」とやらのルールが書かれていた。
『フィッピーランドのしおり』
ようこそフィッピーランドへ。
決められたルールを守って、「かいぞくのいりえ」を目指そう。
成る程、指定場所を目指すゲームのようだが。
「かいぞくのいりえ」とやらはマップにない上、先のアナウンスによればゴール出来るのは「たったひとり」らしい。
フィッピーランドでは、不定期に「サタデーナイト」が起こります。
「サタデーナイト」中は、他プレーヤーのウォッチを奪うことができます。
意味は分からないが、語感から究極に嫌な予感がする。
そして何やら、この時計は奪い合いが発生するらしい。
要はこのゲーム、プレーヤー同士の戦闘を前提にしているのか。
想定よりヤバいイベントへ飛び込んだのを悟り、萱島は残りの文章へ噛り付いていた。
「サタデーナイト」の時間外にウォッチを奪ったり、他プレーヤーへ接触してはいけません。
接近するとウォッチに警告が入り、30秒後に強制アウトとなります。
戸和と合流出来ない訳をようやっと理解した。
“強制アウト”がどうなるかは不明だし、知りたくもない。
最後に「コマンダー」について。
プレーヤーよりランダムで1名、「コマンダー」が選ばれます。
「コマンダー」はゲームメイカーとして、「サタデーナイト」の切り替えを行います。
(「サタデーナイト」は1時間に20分以上起こす必要があります)
「…そんなん最強じゃん!」
思わず率直な文句をパンフレットへぶつける。
しかしよくよく考えれば、平常時の接近は禁止されている。
他プレーヤーを尾行して急襲をかけることも出来ず、襲われた際に防御として切り替えるくらいだろうか。
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