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chapter.3-24
自分と戸和、この男を抜いて4人。
更に今から来る2人を抜いて2人。
存外に早く片が付きそうだ。
当然こんな陰気な場所、頼まれても長居したくはない。
『――沙南、何も変わりないか?』
今度は自分の無線に呼ばれ、心臓が縮こまった。
何も無くはないが、過剰に心配して欲しくもない。
「う、うん」
『なら其処に居ろ。中央の塔に狙撃手が居る』
弾かれた様に林中から目を凝らした。確かに木々の隙間、開けた場所へ塔が聳えているが。
あれでは全景が見渡せる反面、退路のない楼閣じゃないのか。
『恐らくコマンダーだ、頭が良い…安地から数を減らし、危険が迫れば時間を切り替える』
「あ…なるほど」
『早々に仕留めたいが、周囲に遮蔽物もない。取り敢えず一度そっちに…沙南?』
木の葉のざわめきに紛れ、徐々に足音が迫っていた。
多分2人分。
先に呼んだ取引相手が、もう近くまでやってきたらしい。
「和泉、あの…後で説明するけど、今から人と会うので」
『はあ?』
「取り敢えずこっちで待っております」
無論、戸和は黙っちゃくれなかったが、一先ずは交渉を収めたい。
約束通り並んで現れた2人と対峙し、萱島は舐められない程度に警戒を纏った。
「…来てくれてありがとう」
数メートル手前で歩を止めた。
迷彩服を纏う2人は落ち着いちゃいるが、何処となく此方と同じ匂いがする。
「さっきの返事は」
「まあ兎に角、アンタに支払い能力があるかって話だよ」
声が若い。
獲物はアサルトライフル、軍隊上がりだろうか。
「逆に聞くがそっちは?幾らまで出せる?」
「…日本円で8桁くらいまでなら」
「ははは」
一頻り笑い、返事を寄越すかと思えば隣を小突いた。
「8桁って幾らだ」
「千万」
「まじかよ…でも多分、アンタは要所を勘違いしてるぞ」
数字に弱かろうが、回転の速そうな青年だ。
それが目を眇め、何か此方の穴を指摘しようとしているではないか。
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