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chapter.3-31
(成る程な…確かに参加費だけで良い筈が、何故ゲームまでやらせるのかと思えば)
畢竟するに、このゲームは金持ちの道楽用なのだろう。
TPはこのバトルロワイアルをエンタメ映像として公開し、上乗せの鑑賞料で荒稼ぎしていたという訳だ。
胸糞悪い。
不快な感情は拭えぬまま、兎にも角にも無線を取り上げる。
しかし其処で気付いた。既に時計の電源は切れ、アナウンス通り完全にゲームは終了しているではないか。
「沙南今何処に…」
やっと合流しようと呼び掛ける。ところが今度は後方の木が妙な音を立てている。
さっきの2人か。
直ぐさま遮蔽物を確保しようと退いたが、樹木から落ちて来たのはやけに間延びした声だった。
「待たれよ兄ちゃん」
引き金の指が留まる、その間に“コーレニカでない方”の彼が降って来る。
「…未だやりあう気か?」
「いやもう撃たん、任務が御破算なら俺らは撤収するだけだ」
なんて切り替えの早い連中だ。
勿論賢明ではあるが、理性100%の判断軸に眉を顰める。
「――だから俺を置いてくなコーレニカ!…まあ悪いこと言わねえから、係とやらが来る前に帰った方がいいぜ。ご覧の通り、死体が出てもカラスが食っちまうからよ」
「忠告感謝するが…連れを捜してからだ」
「それは勿論だ。悪ィな、無賃じゃなきゃアンタを助けてやれたんだが…コーレニカ!俺を見殺しにする気か!」
先まで殺しに来ていた人間が、助けるなど何を宣っているのやら。
戸和の内情を察したのか、コーレニカに怒鳴っていた青年が口端を上げる。
「悪かったって、こちとら殺す気は無かったんだ。あ、手榴弾を投げた件は…」
会話の中途、幾つか頭上をヘリが飛び始めた。
おまけに地面を這う重低音は、高機動多用途装輪車両 のエンジンらしい。
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