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chapter.4-2

「例に漏れず酷い顔だな、何も今日も悪態をつきにきた訳じゃない」 「そうそう、新しい話を持ってきた」 「君がな、どうして君のような若造が…こんな戦略統括本部などと訳の分からん機関を設けて好き放題やらかしているのか、ある筋から調査してくれと頼まれた」 また、「頼まれた」か。 善意の第三者を装う、狡猾な計らいがヤクザのようだ。 「そして掴んだ。貴様とアメリカ政界の癒着…汚れ仕事を引き受ける、貴様のスローターハウスの側面をな」 それでそんな鬼の首を取ったような顔で、態々他国から飛行機を飛ばしてきて。 一体幾らの時間を費やしたのか。御坂でなくとも、その悠長さへ溜息が出る。 「屠殺場(Slaughterhouse)かは知りませんが、うちのスポンサーはアメリカだけではありません」 「何?」 「…まさか貴様、他の常任理事国も丸め込んだのか?」 「27か国」 客人2人の顔が凍る。 外の雨音へ置いていかれて、面白いように。 「うちに融資している数だ、必要ならリストも差し上げる。用件がそれだけなら早々と退去されよ」 「…27か国だと…?何処の国だ?融資?何故お前に…」 ソファーから腰を浮かせ、声を震わせる。 ただ目前の御坂康祐とは確かに常軌を逸した男で、今現在もホログラムでないか怪しい有様だ。 ある者は神と崇め、ある者は悪魔と罵り。 何年経とうが衰えぬ容姿と頭脳へ、ジャパンが開発したアンドロイド等という噂すら流れ。 「そうか…分かった、分かったぞ…お前の関与している”箱舟”計画か…!」 ぴくり。此処へ来て、漸く御坂の指先が一端の反応を見せた。 「知っているぞ…貴様の周辺で妙なプログラムが進行しているのは。それでパイプを繋げた、そうだな?」 「しかしなんだね事務局長。各国が融資するとは、御坂本部長が中心に居るのかね」 「そうだ違いない、この男は本国の研究所に居た…その前はアメリカの有名医大!そこで妙な物を拵えたという訳か」

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