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Chapter.4-14
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「この船の速力を鑑みて、明後日には遠洋に出る。海保の管轄を外れたら、直ぐに護衛艦隊と合流する算段だ」
「秘密裏に複製したノルウェー海軍のフリゲートまで居るんだ、恐れ入ったか!」
「フリゲートって1隻沈んだやつか?あのちっさいイージス艦」
「高度に自動化された故の体積だ…!でかけりゃ良いってもんじゃない!」
怒鳴り返されようが何処吹く風の神崎、キレる作戦長、参謀と思しきおっさん。
3名プラスαが向かい合う船員室では、神崎の処遇その他諸々を巡った緊急会議が催されていた。
舞台は恐らく遠洋マグロ船。
この下には優に人体も積み込める、-60℃の凍結室や魚艙がある。
(マグロ漁船なんてフィクションじゃ、海に捨てられるのがセオリーだけどな)
そう言えば萱島によれば、マグロ漁船の話は強ち都市伝説でもないらしい。
腹を捌くか重しを用意しないと浮いてくるだとか、よもやあのお子さまから生々しい話が出た時には…
「おい聞いてるのか!さっきから舐めてんのかコイツ!」
「落ち着け年に1億は貰ってんだ、俺達よりビジネスの話は上手いに決まってる」
「ぐぬぬ…」
どうやら人質として以外にも、連中は神崎が有用と見ているようだ。
会議に連れ込んだのも助言が目的なら、此方も色々質問できるという事になるが。
「で、そのフリゲで何する気なんだお前らは」
「安っぽく略すんじゃねえ!…まあお察しの通り、お前を輸送するだけで護衛艦隊は必要ない。俺達はこれからクウェートの島を奪取するんだ」
「イラクをケツ穴から叩く軍事拠点としてな、今の統制もクソもないイラク治安部隊なら余裕で勝てる」
成る程、元々軍事侵攻を予定していた艦隊に、偶々神崎らが積み込まれるらしい。
最悪極まりない。
ただイラク治安部隊に関しては寝屋川が散々愚痴っていたので、言う通り戦力としてはお察しなのかもしれないが。
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