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chapter.4-15

「侵攻だろうが好きにすりゃいいが、俺の身柄は本社に届ける必要があるんじゃないのか?」 「心配すんな、アンタはドバイで降りて貰う。そっからは長い陸路だ」 「まー、その前に息の根止めとけって意見もあってよ。お誂え向きにでけえ冷凍庫もあるし?」 漁船であればドバイまで1カ月超、聞けばこの船はコンテナ船級のエンジンを搭載しているらしいが、それでも20日は掛かる。 その間に殺害を検討されるなら、まったく居心地は良くない。 「俺たちの仕事はお前の死体をブリッジに吊り上げ、横にこう書くだけだ。“くたばれムスタファ革命軍!”それでアンタの親父の信者は怒り、イラク治安部隊はハチの巣…簡単だぜ!」 「ふーん死体ねえ…ところでお前ら、俺の資産がどのくらいあるか知ってんの?」 「資産?」 間の抜けた、幼児のような発音だ。 それで瞬くだけの連中へ、神崎は今日も腹の立つ顔でつらつら並べ始める。 「日本国内と7割はスイスだな、後は南米に買った良く分からん島と、うちの若き人材たちも換算して…10兆円くらいか」 「…は?馬鹿言え、富豪ランキングトップに届くレベルだぞ。お前の名前なんざ聞いたこともない…」 「それが半分以上知り合いの名義になっててな。序にそいつ保証人にもなってるから、俺本人以外に財産引き出せるのはそいつだけ」 「誰だよ…その保証人って」 もう神崎の態度に引き込まれ、固唾を飲む参謀が問う。 了承も得ず煙草へ火を点けたのち、神崎は煙と共に一級の爆弾を吐き出していた。 「御坂康祐」 「ぎゃあ!」 「おう、名前は知ってたか。仲いいぞ~、俺とアイツは…嫌いだけど」 「御坂ってUNSDHの…そうだコイツ…!父親はアイツの親友じゃねえか!」 「実は俺が起業する時未成年でさあ、面倒くさいことに今でも保証関係全部アイツなんだよなー」 「取り敢えず殺る話は無しだ!クソったれめ!本社もその件を忘れてたんじゃねえだろうな!?」

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