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chapter.4-16

(忘れてはないだろ、お前らの雇用主はどんな手を使っても御坂を引きずり出したいだけで) 寧ろバートに絡めた一連の計画も、過激派というより――御坂を煽ることが主目的だったとしたら。 (やっぱりアイツの胸にある生物兵器が目的か) しかしそんなもの、本当にあの健やかな学び舎で開発していたのだろうか。 我が父親の性格からして、そんな非人道を見つければ妨害に突っ込みそうだが。 「チッ…資産額も本当だとしたら、当面始末できそうにねえな」 「取り敢えず俺は一端本社へ報告してくる…お前は大人しく一人ポーカーでもしてろ」 「あ、忘れてた。俺の部下どうなった?」 「忘れてただと!?」 何故か律儀に参謀が憤った。 歯ぎしりする彼の横で、作戦長が明後日を指差す。 「…可愛い2人は船尾のサロンへ拘留中だ、生かすも殺すもお前の態度次第だがな」 「ふーん、取り敢えず腹減ったからマグロでも釣ろうぜ」 「大人しくしてろ!何なんだお前は!」 参謀は至極当然に吠えたが、神崎は神崎である。 釣り方知らねえのかよダッセーと煽る男に釣られ、良いようにテンポを乱される。船員室の会議は頓挫し、小競り合いへと様相を変えていた。 「水筒と食糧は此処にある、シャワーは一日一回。外にあるから声を掛けろ」 なんて静かな宵。 説明と稀に起こる物音をだけを耳に、萱島は聞き分けよく頷く。 「部屋は施錠して、俺は外だ。用があれば内線205番へ」 理解したか?と言いたげに男が振り返る。 萱島はモーションで礼を示した。 その隣では、どうやってか安否を確認しに来た戸和が黙っていた。 「よお青年。君が脱走した件は不問にしてやろう、捕虜に関する国際法は喧しいからな」 「あのう…見張りは交代制なんですか?」 「俺に替わっただけだ、好みじゃ無くなったか」 慌てて首を振るも、矢張り隣の青年は未だ宙を睨んでいる。 どうしたと言うのか。話の通じる見張りが来たと分かれば、真っ先に質問を浴びせそうなものを。

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