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chapter.4-25
感情も挟まず訂正するが、神崎の方は相変わらず胡散臭い物を見る目だ。
どうも知り合いらしい。
後ろで2人出方を伺っていると、気付いた彼女の方から会釈をくれた。
「ご子息の会社の方ですか」
「そうだよ俺の部下、どっちも御坂と顔見知りな」
「はーん…マシュマロで作った子猫みたいですね」
萱島をまじまじと見てそんな事を言うものだから、シャイな当人は戸和の背後に隠れてしまった。
サバサバして、明け透けに物言う彼女は一行を呼びに現れた様だ。
カスタムのトミーガンを肩に掛け直すや、踵を返し空母内への追従を要請していた。
「サーがお呼びです、諸々報告しろとのことで」
「お前の上司今どちゃクソ機嫌悪いんだろ…やだよ」
「もう随分マシになりました、お二人もどうぞいらして下さい。お茶も何も出せませんが」
告げるや、返事も待たず早々と歩き出す。
自然付いていく形になったものの、戸和は予てからの疑問を雇用主へぶつけていた。
「…御坂先生は何の仕事を?」
「アイツ?アイツは名前忘れたけど、国連に謎の機関を新設してな」
「“国連戦略開発統括本部 ”です、ご子息。端的に言えば世界諮問機関のようなものです」
ばっちり聞こえていたらしい。
態々会話へ割り込んできた先導へ、神崎は嫌味を含めた苦言を呈す。
「世界諮問なんて言う割に無法過ぎるだろ、部下にストーカーは居るし」
「副官です、貴方やけに私に楯突いて…ははあ、成程。貴方からサーを奪った件を未だ根に持っているんですか」
「ああん?」
「日本へ帰国する際にサーを誘おうとしたのに、私とマチェーテの世話を理由に断られたせいでしょう」
「待て待て、誰もあんな兵器を誘った覚えはないぞ」
「何を…契約書の関係全部サインさせた癖に」
無表情を貫いていた彼女の片眉が上がる。
付随して、神崎の方も不快を露わにするものだから、部下2人は妙な感心をしてしまった。
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