119 / 248

chapter.4-25

感情も挟まず訂正するが、神崎の方は相変わらず胡散臭い物を見る目だ。 どうも知り合いらしい。 後ろで2人出方を伺っていると、気付いた彼女の方から会釈をくれた。 「ご子息の会社の方ですか」 「そうだよ俺の部下、どっちも御坂と顔見知りな」 「はーん…マシュマロで作った子猫みたいですね」 萱島をまじまじと見てそんな事を言うものだから、シャイな当人は戸和の背後に隠れてしまった。 サバサバして、明け透けに物言う彼女は一行を呼びに現れた様だ。 カスタムのトミーガンを肩に掛け直すや、踵を返し空母内への追従を要請していた。 「サーがお呼びです、諸々報告しろとのことで」 「お前の上司今どちゃクソ機嫌悪いんだろ…やだよ」 「もう随分マシになりました、お二人もどうぞいらして下さい。お茶も何も出せませんが」 告げるや、返事も待たず早々と歩き出す。 自然付いていく形になったものの、戸和は予てからの疑問を雇用主へぶつけていた。 「…御坂先生は何の仕事を?」 「アイツ?アイツは名前忘れたけど、国連に謎の機関を新設してな」 「“国連戦略開発統括本部(UNSDH)”です、ご子息。端的に言えば世界諮問機関のようなものです」 ばっちり聞こえていたらしい。 態々会話へ割り込んできた先導へ、神崎は嫌味を含めた苦言を呈す。 「世界諮問なんて言う割に無法過ぎるだろ、部下にストーカーは居るし」 「副官です、貴方やけに私に楯突いて…ははあ、成程。貴方からサーを奪った件を未だ根に持っているんですか」 「ああん?」 「日本へ帰国する際にサーを誘おうとしたのに、私とマチェーテの世話を理由に断られたせいでしょう」 「待て待て、誰もあんな兵器を誘った覚えはないぞ」 「何を…契約書の関係全部サインさせた癖に」 無表情を貫いていた彼女の片眉が上がる。 付随して、神崎の方も不快を露わにするものだから、部下2人は妙な感心をしてしまった。

ともだちにシェアしよう!