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chapter.4-30
「捜しに行けばいいじゃん…一緒に」
僅かな反抗は結局、届きもせずサラダの中へ吸い込まれる。
戸和はいつまでも此方を慈しみ、庇護の対象にしている。
勿論嬉しくもあった。
けれど、あの時も逼迫した場面に居たのに、ひとつも萱島に頼ろうとはしなかった。
そして今の苦しい状況にも一切、何も期待せず。
「――…ご歓談中すみません、Mr.神崎のお連れ様ですか?」
「あ…は、はい!」
両者反応が遅れ、声掛けに弾かれて向き直る。
何時の間にやら傍には赤い髪の男性が立ち、此方にラフな敬礼を示していた。
「マチェーテと申します。お二方を日本まで送るよう御坂に指示されました、どうぞ宜しく」
「ほ、本当ですか…すみません何から何まで」
「いいええ、お気になさらず。お食事が済みましたらお迎えにあがりますが、何時頃がよろしいですか」
「えーっと、それじゃあ…」
現時刻を確認しようと腕時計を見た。
萱島はその造形を前に、不意にフィッピーランドでの一コマを想起していた。
(あれ…?あの時確か)
コマンダーを追い掛け、塔に向かった。
其処で神崎と再会し、彼は萱島の時計を切ってしまった訳だが。その時。
(社長は未だ時計を付けてて…それから確かに時計は作動して)
事の経緯を思い返し、ひとり妙な汗を湧かせる。
否、現状彼はピンピンしていたのだから、毒針が刺さったなんてこと、ない筈なのだが。
「――いってえ!!!」
「そうだね、痛いね」
「教え子が可愛くないのか優しくしろ…!」
「ご子息、一体其処に如何ほどの技術が使われているとお思いですか。サーが居なければ一生編み物も出来ませんでしたよ」
編み物なんざ生涯する気も無いが、確かに絶大な借りを作ったのは事実だった。
部下2人が去った一室、御坂に追加の麻酔を打たれる神崎は遠い目になる。
「あの子達には言わなかったの?会社に居ない間ISILに追い回されて、死にかけましたって」
「死にかけても無いし、其処からお前に助けられたとは死んでも言いたくない」
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