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chapter.6-3

――国連諮問委員 予算・戦略評定会議―― 通称、”裏安全保障理事会”。 其処にはニュースに出回る表札でなく、実質的な采配や決定権を持つ副官…果ては所謂”フィクサー”と呼ばれる影の人間まで揃う。 いつ、どこで、誰が。 5W1Hもすべて不明でありながら、その会議の存在はすべてのプロットを動かしていた。 エレベーターは見えない部分で滑車が回しているように、重要な機構とは世間の目に触れないように出来ている。 『――皆さま、本日も定時開場のご協力ありがとう御座います。議題は先般ご連絡した通り』 ざっと見回して中型のコンサートホールはある。 相当な面積の会議場には、端までほぼ満杯に人間が詰まっている。 『元米海兵隊率いるPMC軍がイラクへ出立した件について既にテレカンを繋げておりましたが、意見が割れておりますので多数決を採らせて頂きます』 「多数決とは、戦争にも民主主義を持ち込むつもりかね」 「ははヘイミッシュ、それではジジイ共で殴り合いでもするかい?」 議長の演説をそっちのけに、中央の如何にも待遇の良さそうな席では老獪たちがニヤニヤ小競り合っている。 彼らにとって要はこの席も金で購入したのだから、多数決等と言いつつ、結局財力が買つ資本主義であった。 『割れているのは件のPMC軍への対応について…直ぐ粛正すべきとの意見と、ISILとの潰し合いで両者を摩耗させるべきとの意見があります。PMC軍の目的はイラク戦争で犠牲になった部下の遺体であり、その所在は恐らく――』 「さて、お宅らはどちらに入れるんですかな」 「私は共倒れを狙うべきだと思いますよ。つまりPMC軍へ早期へ遺体が渡っては困る」 「しかし奴らの派閥は今も米軍との癒着が強い、イラク戦争の再来になりますぞ」 「どの道、大事になる前に介入する必要がある。遺体を引き渡してもTPに何らデメリットはないなら、交渉できんのか」

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