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chapter.6-5

『深夜00時52分、米空軍特殊作戦部隊へファルージャ出動を要請した。約5時間後に現地へ到着し、トワイライト・ポータル本社を空爆する。報告は以上』 たった2行。それが霹靂のように議場を貫き、一瞬の静寂の後に燃え上がる。 「なっにを…言って…る…?」 議長が椅子を薙ぎ倒す音を切っ掛けに、背後の聴衆がわっと割れんばかりに憤る。 席を立って野次を叫ぶ集団の手前、御坂とサイファの目だけが何かを捜すように四方を縫っていた。 「――三次大戦を始める気か貴様ら!!撤回しろ!!」 「おい警備、連中を抑えろ!これ以上勝手をさせて良いのか!?」 議定所に待機していた軍人が、困惑しつつバックサイドホルスターへ手を掛ける。 ただし彼が引き抜く手前、壇上へ乗り上げたサイファが速射で弾き飛ばしていた。 「黙れ腰抜けが!!我々の攻撃目標は武器供給組織トワイライト・ポータル本社、目的は戦時背信行為者の捕縛だ、戦略開発本部の権限に基づき軍事力を行使する!」 煙を上げるベレッタPx4を目に、血こそ流れぬものの聴衆が後退る。 先まで談笑していた老獪らも含み笑いはそのまま、真意を探る様に壇上を眺めていた。 「我々は過去にも明日にも忖度などしない!口先だけの豚が二度此方へ銃を向けてみろ、頭蓋から嚙み砕くぞ!!」 鬼気迫る怒号へざわめきつつ、皮肉にも会議は先より必死に次を模索していた。 ”あと5時間”というデッドラインが尻に火を点けたらしい。早急な対応を迫られ、どいつもこいつも近場で頭を寄せ合っている。 「背信行為だと…根拠はハーグ陸戦条約か、海兵隊の復讐を正当化するとそういう事か」 「そもそも何で海兵隊が殺された件は明るみに出なかったんだ…?否、今そんな事を言っても埒が明かんが」 共通敵に統制を取り戻していた。 その中で一人、豆粒ほどのエラーが人影へ埋もれるように走り去った。 彼は身を屈めて群衆を抜け、誰の目にも映らぬよう非常口へ消えた筈だったが。 「居たぞ」 2人は見ていた。 壇上からサイファが視線を降ろせば、同じ様に見上げる上司の目とかち合った。 「A1出口だ、マチェット」 インカム越しに指示を出せば、軽い返事が返る。 ユダを見つけた。 議会場前で待機していたマチェーテは、非常口の足音を聞きつけて3階テラスより飛び降りた。

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