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chapter.6-23

ガタンガタン またいくつめかの橋を越えて、コンテナを積んだ車体が揺れる。 早く次の話を始めねば、この単調な音と共に列車はじわりじわりと終点へ近づき、もうその頃にはすべて分岐は閉じてしまう。 「…俺が」 恐怖に苛まれて口を開いたが、次の進行を取ったのは相手だった。 「欲張りだと言われて」 いつもの声だ。 今日初めて耳にした、靄のない純然たる、やっと本音が漏れ出した声だ。 「お前も言う通りやっとこれまでの勝手に気付いて、同時に出来る範囲も」 主語も脈絡もない、唐突な独白がやけに真っ直ぐ耳へ突き刺さる。 まるで夢の終わりみたいだ。何だって出来そうな無敵の時間が弾けて、一気に生々しい現実の五感が戻る夢の終わり。 簡単な刺激で破裂して、跡形も無くなって、思い出そうと掴もうと躍起になる度、砂の様に指の間をすり抜ける。 あの感覚が今襲い来て、ああもう取り返しがつかないのかって。この時間の行き着く先を思い知った萱島は、その場へ蹲って叫び出しそうになっていた。 「情けないか?お前を護る自信がない」 情けなくなんてないよ、多分自分が選択を間違えたのだ。 何処で間違えたのか知らないが、もう一度嚆矢に戻してくれないだろうか。そうしたら全部君の望むように、上手く行くように選び直して、未だ一緒に居られる気がするのに。 「待ってろ、なんて言ったのも謝る。俺の所属なんて直ぐに調べがつく。この先何処に居ようが、俺の隣に居ることで、お前に危険が及ぶなら」 「そ、んな事言わないでよ」 全て飛んで行ってしまうのだ。 君が手を離すだけで、今まで二人で築き上げたものが全部、一瞬で。 「ぜ、ぜんぶ、嘘になるじゃない」 今日より良い時も悪い時も。 教会で2人だけが聞いたあの仰々しい文句も、三か月分以上で用意してくれた立派な指輪も。 君に連れられて見た、あの途方も無く遠くて綺麗な海も、 残りの人生をあげるなんて、とんでもない覚悟をくれた君も。その時間も、思い出も、抱いた気持ちも、永遠に思えた幸福も全部

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