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chapter.7-12

「…何か問題がありましたか?」 おまけにそんな台詞まで繋げるか。 以前とは全く違う顔つきへ、セフィロスはグラウンドを見下ろした昨夜の様に無機質な目を向ける。 「パトリシア、君は何か思い出したのかな」 「え?」 話が読めない。 虚を突かれて固まる少女はしかし、辺りを見回して僅かに膨れ始めた違和感を口に出した。 「いえ…でもセフィロス様…確かこの倉庫、以前はもっと広くて」 「…どうしてそんな事を?君がこんな場所に踏み入れる事は無い筈だが」 「でも、私の記憶では、その奥に部屋が」 ”ーーノーノー、来たら駄目だ、来たら駄目だよパトリシア” 矢庭にいつか見た夢が透ける。 否、夢か現か。分からぬほど蕩けた光景は、背の高い大人の影に隠され、しかし隙間から覗き込んだ先にぞっとする様な赤が漏れる。 ”見ては駄目だと言ったろ!戻って…早く、外に出て!” 訳も分からず大人に追い返されたあの日。小さな背で伸びをして、どうにか垣間見ようとした先、いつも人気のない其処へ多くの人影があった。 それから数発響いた。突然鼓膜を割るような乾いた音が、狭い部屋全体に 「うっ、ぐ…!」 「――…パトリシア、パトリシア!どうした、大丈夫か?」 脳の激痛へその場へ座り込む。 セフィロスに駆け寄られ面を上げるも、常軌を逸した動機と眩暈に視線すら定まらない。 「顔が青い…医務室へ、直ぐ」 「…、ああ、いえ」 「急な環境の変化で無理もない、私も配慮が足りなかったね」 中枢が揺さぶられるような痛みが徐々に引き、付随して現実のピントが戻り始める。 今に帰って来た少女は呆然と相手を眺め、パンドラの箱から出て来た記憶に唇を震わせていた。 「セフィロス様、貴方…此処で」 「…医務室でゆっくりお休みパトリシア、夜までは何者にも邪魔されず安眠出来る。先の事は、それから考えようじゃないか」 言葉を遮る意図、その台詞の意図は何だろう。 回らない頭で棒立ちになる。少女へしかし相手は有無を言わせず背中を押し、もう医務室の方角へと追いやり始めてしまった。

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