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chapter.7-13
「どうだ」
「――…体調が気になるが…当分は安全かと」
「そうか、なら我々は撤退しよう」
頭上の成り行きを見守ったのち、本郷は男に倣ってハッチを潜る。
床下収納はどうやら非常口になっていたらしい。
やりとりの足元に閉じ込められていた2人は運良く梯子を見つけ、一室を後に暗い下水道へと下り始めた。
「まあ彼女は今やCEOよりよっぽど高位の存在…真の話か、誰かが論文を誤魔化したのかは知らんがな」
「そんな事にまで頭が回りますか…Mr.…えーと」
「ガロンだ副社長。夜までに作戦を練る必要があるな、寝屋川庵ならば100%降下急襲で来るだろうが」
「…どうして襲撃犯や作戦内容まで分かるんです?」
「俺の思考過程が今必要か…?ああ後者は要るか、彼が好きなのさ。ナイトビジョン装着で夜間飛行できるトンデモ技術を持った、第160特殊作戦航空連隊 と戦場に行くのが」
最近まで同居していた割に、奴の本業の話など一切聞いた例は無かった。
単騎の戦闘力で化け物だと思っていたが、フルの力を発揮できるのはヘリボーン作戦指揮だったのか。
「あー…随分有名なんですね、アイツの名前は」
「枢軸も連合も色んな意味でファンだよ。ところで作戦には連携が重要だ、君は彼と連携が取れるのか?」
「…いいえ」
昨夜の獰猛な目つきを思い出し、本郷は否定を返す。
話は無理だろう。回線はあるが、応じてくれるとは思い難い。
「ふん?ただ任務は共通で済むだろうな。CEOセフィロスの捕縛、以上。戦いが拗れる前の短期完遂&撤退が必須で、彼も悠長に探索している間はない…」
「共通…?すみません、寝屋川の襲撃目的をご存知なんですか?」
「ご存知も何も、彼がこの国をフラフラする目的などいつも一つでは?」
仰る通りだった。
こんな知らない土地の男に指摘されるほど、彼は人生まるごと懸けて死んだ部下を捜し回っていた。
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