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chapter.7-15

指摘を実に曖昧な笑顔でやり過ごす。 愛嬌を多分に乗っけた青年は、アサルトライフルを担ぎ直すや鼻を啜った。 「アイツは口が利けないもんですから、俺が余計に喋るだけですウッド隊長」 「…もし君のお兄さんを見つける事が出来たら、また口を利いてくれるかな?」 「勿論ですよsir!ところで寝屋川大尉はどちらに?」 ぶっちゃけ半分は此処に来た目的である所在を問えば、ウッドは例の微妙な顔で空を仰ぐ、 宜しくない件を聞いた様だ。 察した青年は一拍置いて頷き、「お元気そうなら良かった」とさっさと話題を投げ捨てた。 「お前はお兄さんを見つけたらどうする?」 「そうですね…検分したら川に捨てて帰ろうかと。アイツ骨密度が高くて重そうなんで」 「…君が軍事会社に就職した理由なのに?」 ぱっと動きを止めて、恰も無声コメディの様に首を竦める。 トリッキーな仕草ばかり上手くなった彼は、背後へ遠ざかりながら気持ちの良いほど快活な笑顔を浮かべていた。 「――そう、それは寝屋川大尉に取り上げられたんですよ。僕は適当に生きてます!あの人が俺の分まで悩むので、相対的にね」 「…なんて、話をさっき聞きましたが」 指揮所代わりに借りた宿へ戻り、ウッドは数分前の会話を上司への報告に乗せた。 当人の容体は酷いもので、肺炎の高熱からソファーへ寝転びながら、それでも妙に不遜な笑みを維持して続きを催促する。 「いえ、それだけですが…サーは特に反論は無いので?」 「反論だと?お前の複雑な面だけで腹が一杯だ」 「…じゃあ仕事の話をしましょう、貴方の脳味噌が熱で溶けてなければね」 「相変わらず暑い国だ。皆こうなる」 さっきから傍に控える元軍医が甲斐甲斐しく世話を試みていたが、ついぞ寝屋川の手の動きだけで追い払われる。 ウッドは未だ言いたい件が山積みだったが、無駄話を嫌う上司の為にさっさとパイプ椅子へ腰かけた。

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