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chapter.7-22

「分隊単位の行動なら200人近く招集したか?いや、その人数を此処まで感知されずに展開できるか…?」 さて、混乱して手を拱いている間にも、現場で負傷者は雪だるま式に膨れ上がってゆく。 ポイントの点滅を睨んでいた一人は何度か机を叩き、あるいは、と言った調子で口を開いた。 「教本以下の少人数で行動している…例えば5人とか、もっと少なく3人。その可能性は?」 「確かにそれなら目立つまいが、応戦している隊からの戦力報告は?」 「――…負傷者が出て、その、支援を要請している隊はありますが」 「支援?応戦させろ!!恐らく連中は虚仮威しを掛けている!襲撃を多く見せた所で中身はスカスカだ、撃てば化けの皮が剥がれるぞ!」 一転して口角泡を飛ばす参謀を前に、オペレーターは慌てて通信機へと舞い戻る。 仰る通りで、寝屋川庵と言えど、このアウェイでいきなり大軍は動かせまいが。 「…11分隊聞こえるか、戦況報告を」 『――…戦況報告だと?さっきも言った通り5人もやられてるんだ、さっさと車を寄越して後送しろ!』 「了解した、残りの人員で応戦可能か?」 『している!が、先に』 チュイン、と高い金属音の後に声が途絶えた。そして無線が唯の銃声になった。 オペレーターは硬い面持ちで唇を舐め取ると、代わって応答した若い副官へ現状を問い始めた。 「教科書に従えば、市街地作戦は攻撃・支援部隊の連携が必須、そうだな?」 昨日上官に問われた件へ頷いた。市街地では攻撃目標の周囲や道を護り、敵の増援を阻む支援部隊が必須になる。 「しかしウッドよ、今回市街戦は通過点に過ぎない。呑気に安全確保するよりも、さっさと本社に突っ込んで事を終えたい」 今回の作戦は歩兵戦術で言う、継続躍進が要だ。 分隊を更に分割し、攻撃と支援を交替しつつ前進する。 「少数編成の挟み撃ちで増援を引き出せ。火力の高い使い捨て武器を持たせ、初撃を最大化しろ。増援と言っても本社警備から回すしかない、連中を幾らか街へ引き摺り出し、後はナイトストーカーズの掃射で足止めしながら建物へ潜入する」

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