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chapter.7-23

捕虜を捕る。CEOセフィロスをプライオリティに、数人捕って撤退する。 社内捜索などしない。タイムリミットは1時間に決め、後は夜明けを待つだけと頷く。 「了解しました、サー…しかし」 一連のやり取りを反芻し、ウッドはアサルトライフルを構えながら苦虫を噛む。 「…あんなに理論整然と長く話す貴方を、我々は久方振りに見ましたよ」 夜間に飛ばしていた無人偵察機がバレなかった為、全員敵陣位置も地形も完璧に頭に入っていた。 後は寝屋川が指示したルートを逸れないよう、連携サイクルを回しつつ前進するのみだ。 (脚の速さも重要になる、負傷して隊が止まらなければ良いが) 滑り出しは好調だが、矢張り隊の動きは硬く、全員が異様な緊張感を携えていた。 少人数故に、誰かが何かをヘマすれば一気にすべてが崩れてしまうからだ。 「…第2分隊、左へ逸れ過ぎだ。軌道を修正しろ」 『すみません、sir、戦車が一台隠れていたらしく』 ウッドはぎょっとしてつい動きを止めていた。元々予備として格納されていたのか、偵察を見越して隠していたのか。 此処は慎重に処理せねば大損害を被る。 「爆発物はあるか?」 『手榴弾が3、ブレードが2、M2 SLAM1です』 「…誘導できそうか?」 SLAMがあるなら地面に仕掛け、片脚でも破壊したいところだが。 『十字路から動く気配がありません…接近も固められて難しい、迂回を推奨します』 十字路に陣取られては後続のあらゆる部隊に影響が出る。ナイトストーカーズを動かすか?しかし後の本社突入時の戦力が落ちる上、其処まで強力な弾も積んでいない。 『――ザッ…ヴィチェ、戦車の左翼へ回れ』 そこへ突然割り込んだ。 心の底で全員が待ち望んでいた声に、胸の奥から熱い歓喜がせり上がった。 『砲門を誘導し、家屋に回り込んで一撃しのげ。今向かう』 『――…了解致しました!』 まるでヒーローが現れた様に弾んだ答えが返り、鬱屈として現場が一気に晴れる。 それは酷く懐かしい。寝屋川庵という上官が居るだけで、全員が無敵になる感覚、何処までも走れる様な高揚感。 飛ぶように軽い脚が動き、ヴィチェの部隊が援護を受けつつ戦車の左翼へ向かう。 釣られた砲門はぐるりと向きを変え、彼らの隠れた建物を吹き飛ばしたが、その背後からは新たな影が恐ろしい速度で迫っていた。

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