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chapter.7-33
「…君はこんな景色で育ったんだね」
戸和の応急処置を終えて、崩れたテラスから階下を見下ろした萱島が呟いた。
国は違うが、確かに砂に塗れて似たような景観だった。
「!…ごめん友達が心配だ、直ぐに合流しよう」
「ああ…そもそも、お前こそどうやってこの場所まで」
「御坂先生が本郷さんなら知ってるかもって繋いでくれたんだ。入国証も…世話になりっぱなしだ」
砂埃を払うや、武器を手に身を起こす。
その横顔が恐ろしく強かに見え、青年は引き摺られる様にテラスを離れた。
確かに幾ら相方が不死身に近かろうが、これ以上私情に感ける時間も無い。揃って階下へ走ろうとするも、直後にボリュームの馬鹿な声が響いて足取りを留めた。
「――おい凄ぇ爆発音が聞こえたぞ!タマ残ってるか和泉!」
階段から無傷のティーバが飛び込み、急停止して五体満足な相棒に気の抜けた面をする。
それから暫し状況を確認するや、しどろもどろに萱島の存在を指摘した。
「…!アンタ確か列車の上で和泉を追っかけて来た…」
「あっ…その説は何と言うか」
「俺の首を絞め落とそうとした…和泉、お前どうすんだ!こんな所までついて来ちまったのかよ!」
「諸々すみませんでしたミスター!急で申し訳ないんですが本社までのルートを案内して貰えませんか!」
声を荒げるティーバに負けじと萱島が声を張る。
喚きを遮られて何事かと目を剥くも、状況の分からぬ彼はまたあっちこっちへ目を泳がせていた。
「ウチの上司を迎えに行かないといけないんです、正面を避けて行けるルートがあるならご教示頂きたい」
「…迎えにったって…アンタらの上司にはガロンが付いてるし、用事が終われば自分で帰って来んじゃねーの」
「いやそれが諸事情ありまして、無理やり引っ張ってこないと駄目なんですよ」
傾聴していた戸和まで顔を上げる。
副社長が自ら帰って来ないとはどういう事か。任務があるにしても御坂が其処まで酷使するとは思えないし、誰かしら本社に庇う人間でも出来たのだろうか。
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