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chapter.7-41
駆け付けたISILは何処か嬉し気に現場を見ていた。
「おい…未だ息があるぞ、俺が撃ってやる」
到頭ひとりが口に出したが、そういう事だ。
パトリシアが耳を疑う先で彼らは唇を舐め、じりじりと敵の大将へ距離を詰めている。
「…止めておけ、報復が来て拗れるぞ」
「報復…?だから何だ、何を恐れているセフィロス。我々を此処に呼んだ時点で貴様もこの未来を望んでいた、今更殺すなとはどう言う了見だ」
「めて…――その人を殺さないで!!」
セフィロスの傍らで少女が叫び声をあげた。ISILは一寸怯んだ様相で留まるも、粉塵防止のゴーグルから覗く目をゆっくりと狭めて見せた。
「やあ神の子…ご理解下さい。銃を構えた者同士で、言葉での和解など有り得ないのです。この者が死ぬか、私が死ぬか…どちらか一方しか無いなら、私は引き金を引くまでだ」
「彼は今銃を構えていない!貴方が手を離せば事は終わるでしょう?」
「まさか、我々はこの瞬間だけの話をしている訳では有りません」
「ーー…セフィロス様止めて!あの人を殺しては駄目、貴方なら止められるでしょ!!」
我々は繰り返す。遡れば冷戦時代。否、もっともっと古く十字軍の歴史まで。
何時も清い想いだとか、汚い利己心だとか、そう言ったものが絡みに絡み合って、見上げればもう制御不能のデカさになった戦争に押し潰され、抗えなくなっている。
誰も悪くない訳じゃない。
だが、誰が悪いと明確な訳でもない。
気付けば個人の手に負えない代物になっていて、なのに複数人でひとつの解決に導くと言うのは、独りで解決するよりももっともっと難しい事だった。
「――…撃っては駄目…!!」
少女の金切り声がこだまする。
セフィロスは弾かれ、咄嗟に銃を構えていた気がする。
頭の奥では、随分昔に見た米兵の屈託のない面が浮かんでいた。
異種族との語らい。そう、セフィロスも彼らと良く話した。パトリシアが大人に隠れて忍び込んでいる件も知っていた。あの時の彼らは、恐らくただの友人だった。
次の瞬間には銃声が1発聞こえ、2発、3発。
5発目が聞こえた頃には辺りは静かになり、セフィロスは新たに階段を上がって来た気配に振り向いていた。
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