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第5話

気にくわない萩野に「嫌い」と言われただけでこんなに涙が出るなんて思わなかった。 海とか弘人と喧嘩したとき、弘人に「てめーなんぞ知るか!!絶交だ!」なんて言われたときも海に「もう吉野なんて知らない!嫌いだ!」とか言われてもなんとも思わなかったのに。(まぁ少しは悲しかったけど) 萩野に「嫌い」って言われたたら凄く悲しくなった。 「……何だよそんなことで嫌いだとか言いやがって。」 今の時間帯は1番外が騒がしいはずなのに、部屋の中はしーんとしていて車のエンジン音 1つしやしない。それがさらに俺を悲しくさせる。 「はぁー」 自然とため息が出てくる。利子や海、弘人はどうしているだろう。俺が出ていってクラスのやつらがいろいろと騒ぎだし、その後処理に追われているんだろうか。 それとも授業なんかサボって3人で話しでもしているかもしれない。利子はどうか分からないけど。 「…弘人と海はサボってそうだよなー」 …………俺を追い出した張本人(俺が勝手に飛び出したのだが。)はどうだろう。 萩野は転校してすぐにクラスの中心になったからサボりたくてもサボれないのかもしれない。 「あーやべ、眠い…」 泣きつかれたせいかだんだん眠くなってきた。1分だけと思いながら俺はそのまま眠ってしまった。 「…ろ……ちひ…ろ…千尋」 「んー後30秒だけ…」 「おい!千尋!」 煩いと思い目を開ける。すると 「やっと起きたか…」 …萩野がいた。やけにリアルで一瞬ほんとに萩野がいるような感じがしたが「嫌い」と言われた後で萩野が来るとはとうてい思えなかった。 「おい。萩野、何でいるんだよ。」 「んー?知らねーなぁ」 聞いてみたが、知らないと返されては他に言うことがない。俺が顔をあげるとほほえみが返ってきた。 「あー好きだなぁ…」 いつもなら絶対に思わないのに、自然と思えた。 「萩野ー眠い。寝るー」 萩野の返事を聞かずに俺はまた夢の中で眠ってしまった。 「ち…!ち…ろ!ちひろ!千尋!起きろってば!」 やけに煩い声で起こされた。 「んーまだ眠い…」 「甘いこと言ってんな!さっさと起きろ!」 「へいへいうるせーな…うお!!姉貴!!」 そこには久しぶりに会う俺の姉貴、吉野 緋色(よしの ひいろ)がいた。 「うおとは何だよせっかくお姉様が起こしに来てやったってのに酷いやつだな。」 「起きて目の前にいたらビックリするだろ。」 「そうか?普通ならわぁーお姉ちゃんだぁとかなるんじゃないのか?」 「んな年じゃねぇし第1俺はガキのころそんな感じでもなかったと思う。」 俺が1、2歳の時はどうだったか覚えていないが。 「まっ早く降りてきな。ご飯出来てるよ。」 「はいはい、すぐいきますよー」 制服から私服に着替える。ふとさっき見た夢を思い出した。 俺、萩野に好きだなあとか言ってたよな。……今考えたらふつーに引く。 「おい千尋?まだか?」 「あーごめん今行くわ」 姉貴に呼ばれ、下に降りていく。 「一緒にご飯食べんのっていつぶりかな。」 「さぁ。」 確かにいつぶりだろうか。何ヵ月ぶりくらいかもしれない。 「姉貴、そういえばさー」 俺はさっき見た夢を姉貴に話した。 「こんな夢を見たんだよなー。おかしくねぇ?」 少し笑って言うと姉貴は 「千尋、それ好きなんじゃないの。」

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