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第9話

シオンは日本でいうと10歳くらいの年齢だがそのわりには大人びていて、色んなことを知っている。植物の事や苗の事などはシオンから教えてもらった。小さい頃に両親が他界しているらしく、ほとんど祖父母に育てられたらしい。一度折り紙を作ってからとても懐かれている。 折り紙最強だな。時々俺の料理も一緒に食べる。俺も話しやすいので何かあるとついシオンを頼ってしまい、今では年の離れた弟兼よい友人だ。 ある日仕事終わりにお風呂に入ろうとすると、シオンも一緒に入ることになった。子供がいたらこんな感じなのかな~。日よけの帽子をとって服を脱いでいたらシオンが俺の髪をひっぱった。 「みとよ、髪ヘン」 「え?」 思わず髪を触る。相変わらずごわごわとしている。 「変?どこどこ」 シオンに見てもらおうとかがんだら髪の毛の真ん中当たりを捕まれ 「ここから髪の色が違う」 そういえば髪を染めていたことを思いだした。こちらにきてから鏡なんてないし、しばらく髪も切っていない。相当なプリン頭になっているだろう。シオンと老夫婦以外とほとんど接さないし仕事中はずっと帽子をかぶっているので誰にも指摘されたことはなかった。 「これは昔に染めていたんだ」 「染める?髪って染められるの?」 「俺がいたところはね。こっちが地毛だよ。」 「なんで染めるの?ヘンなの~!でも僕この色初めてみた。これなんていう色だっけ確か…」 そういえばここに来てから黒髪の人見てないな。そもそもアジア人がいないしな、珍しいのかもしれない。シオンはしばらく思い出そうとした素振りをしてからはっと何かに気づいたようだった。 「何色か思い出せないけど、思い出した!その色はね、不吉な色だって。その色の髪の人はみんなどこかに連れていかれちゃうって言ってた。みとよ、僕以外の前では絶対隠してね。僕、みとよがいなくなったら嫌だ」 そういってぎゅうっと抱き着いてきた。 「そ、そうなのか。わかった。約束するよ」 こちらの規則をすべて知っているわけじゃないし、シオンの言うとおりにしよう。眉毛は長い前髪で隠れるし、髪の毛は帽子の中に全部しまうようにしよう。せっかく慣れた土地から離されるのはもう嫌だ。不安そうにするシオンを抱き返して安心させて、一緒にお風呂に入った。

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