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第12話

そうして充実した日々が続いている中、ふと気づいたことがある。ルートは紙をたくさんもっているけど、今の家は紙も本もほとんどない。ルートがいつも乗ってくる馬車は作りが頑丈そうだし、俺が乗ってきたものより数段立派だ。洋服も最初に着ていた服はかなり上質にみえたし…職業とかそういえば聞いたことないけど、もしかしてお金持ちなのかな? 一度、ルートにみんなのところに行くにはいくらかかるのか聞いたことがあるが、やんわりとはぐらかされてしまった。俺の給料じゃ到底行きつけない場所なのだろうか。一応少しではあるが貯めてはいるんだけど。 そう考えるとルートがこうやって会いに来てくれているのって凄い事だよな。本やお菓子などのお土産も持ってきてくれるし。 俺が返せるものと言ったら折り紙と手料理を振舞うだけ…。うーん、申し訳ない。 最近さらに隈が酷くなったように思うし、来てくれた時は精一杯ねぎらおう。 あとはちょっと(いやかなり)寂しいけど、来てくれる頻度を少なくするように言ってみようか。 そんなある日、仕事が終わりシャワーを浴びて部屋に戻ったところでルートがやってきた。 「こんばんは」 「あ、いらっしゃい。今日はいつもより早いね。御飯はシオンのリクエストでオムライスだよ」 「へぇー…」 「これから準備する。適当に座ってて」 荷物を置いて少し整理する。簡易的なキッチンに戻ってさあ料理を!と思ったところでルートが入ったところから動いてないことに気づく。 「どうした?」 俺のほうをみて固まっている。 あれ、疲れすぎてどうにかしちゃったのかな。 「ルート?あの、」 ルートの袖を引っ張ろうと腕を伸ばしたらパシっと振り払われてしまった。 「え・・・」 ショックで固まってしまった。 無言で数秒見つめ合っていたが、耐え切れずに目をそらしてしまった。 気づかない間に調子に乗りすぎていたのかもしれない…。こんなルートは初めてで戸惑う。 「…な、なんかごめん」 出てはいかないのでご飯は食べるかと思って、材料に手を伸ばす。 ごそごそとしているとルートが口を開いた。 「その髪…どうしたの」

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