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第13話

しまった、油断していた。 いつもシオンの前では帽子外していたし、今日はお風呂上がってすぐだったから室内用の帽子をかぶり忘れていた。俺の髪はさらに伸びて、前髪も工夫をしないと黒髪が見えてしまうようになっていた。でも、それくらいでルートには拒まれないと思っていたし、シオンのいう黒髪が不吉というものもただの迷信かと思っていた。 「えと、黙っててごめん。黒髪は不吉だってきいて、その、」 「色が途中から違うのは?」 「これはあの、前に…染めて」 「そ、そめ…」 ルートが絶句している。顔が真っ白だ。 不吉って、本当なんだ。 もしかして染めてまで騙していたって思われているのかな。いやだ、ルートには嫌われたくない。 俺は取り繕うようにしゃべった。 「で、でも染めたのは隠すためじゃなくて。前にちょっと自暴自棄になっていただけで。 それにここでは不吉な事知らなかったし。そうだ、不吉ってなんで不吉なんだ? 俺がいた国、みんな黒髪だよ。」 あぁ、いやそうじゃなくて俺が言いたいのは。 「その、俺こんなだけどルートとは友達でいたい。 ここの規則があるのはわかる。けど、ここでの生活楽しい。 シアンの事も弟みたいに思っていて。だから、その、ここに居させて欲しい」 また沈黙が続く。 怖くてルートの顔が見られない。

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