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第14話
俺がいよいよ耐えられなくなった時、シオンが部屋に入ってきた。
「みとよーご飯できたー?」
入口で固まっているルートと、帽子をかぶってない俺をみて察したようだ。
俺のほうにかけ寄ってぎゅっと抱きついた。
「い、嫌だ!みとよを連れて行かないで!」
「シオン…」
俺は嬉しくてそっと小さな背中に手をまわした。
ルートはより一層顔をゆがめて「…今日は帰るね」と言って部屋から出た。
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そこから俺はしばらく動けないでいた。
胸に抱き着いているものがもぞもぞと動いて意識が戻る。
「ねぇ、みとよはどこにも行かないよね。いっちゃヤダ!」
「う、うん、大丈夫。俺はここにいるよ」
安心させようと思って声をかけたがついに泣き出してしまった。どこかで疑う気持ちもあったが、この2人の様子をみると俺はまたどこかに連れていかれてしまうのだろうか。
その日は結局2人でオムライスを作って、俺のベッドで一緒に寝た。
ルートを信じている。信じてはいるが、不安であまり眠れなかった。いわばルートは命の恩人だ。彼がどんな判断をしたとしても、俺は従うだろう。
もし連れていかれるとしたらどこだろう。独裁国家のように処刑されてしまうのだろうか。
死んでいるのに処刑もおかしな話か。
いや、こっちで殺されたら現世に戻るんだっけか?
あの社畜生活には絶対に戻りたくない。どうかどうか、殺されませんように。
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