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第15話
次の日、そんな心配とは裏腹にいつも通りの日常を過ごした。変わったことといえばシオンがいつも以上にべったりになったくらいだ。
安心した。なんだ、なんにも変わらない。
ルート黙っていてくれたんだ、ありがとう…!
念のためそれからはいつも以上に髪の毛を隠すようになった。でも髪の毛は伸び続ける一方なので、いつか切らないといけない。いっそのこと坊主にして、残っている金髪部分でウィッグを作ってみるか?いや、俺の技術じゃ無理だ。何か策を考えなくては。
その日もシオンは俺と一緒に寝た。これはしばらく続きそうだ。俺も心細い気持ちはあるので正直ありがたい。
翌朝、シオンを学校へ見送ってから畑に向かった。今日はお昼頃に買い物に出かけよう。
こっちに来てから作ったことはないが、クッキーを作ってみよう。何かに没頭して不安な気持ちを払拭させたい。俺も久しぶりに食べたいし、きっとシオンも喜ぶ。
午前中の仕事を終わらせて街にでかける。街といっても小さなお店がちょこっとあるだけで、まぁ平たく言うとさびれている。でも歩いて行けるお店はここしかないし、久しぶりなのもあって気分転換にはぴったりだ。
必要な材料を買って戻ってくると、家の前に白い服をきた人たちが何人にいた。以前、ルートが来ていたような白いローブを羽織っている。こんな田舎に似つかわしくない風貌だ。
その中によく知る顔を見つけた。
嫌な予感がした。
気づかれないようにそっと来た道を戻る。不自然じゃないように歩き出したつもりが だんだんと地面をけるスピードが速くなり、気づいたら走り出していた。
ど、どうしよう。家にはもう帰れない。かといって行く場所もない。とりあえず早くここから離れなければ。行く当てもないままとにかく足を動かした。
荷物を抱えながら人混みの中に入ろうとした瞬間、
頭が急に軽くなって髪の間にふわりと風が通った。
誰かに帽子をとられたのだ。
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