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第23話

扉が開いて入ってきたのは俺が探していた人物だった。お茶を置いて立ち上がろうとしたが隣に来たので一緒にソファに座った。この間のこともあり少し気まずい。 「体調はどう?」 「もう大丈夫。ル-ト、心配かけてごめん。あと、この間の事も…」 「いいんだ、色々と急で驚いただろう。悪い事をしたね」 少し笑って首を振る。ルートが悪いわけじゃない。 「せっかく皆さんが教えてくれたけど、正直まだよくわかっていなくて」 「無理もないさ。焦らなくていい。暮らしながら少しずつ馴染んでいくよ。僕もいるから何でも聞いて」 「ありがとう」 こうやってルートと落ち着いて話すのは久しぶりだ。心細かった気持ちが和らいでいくのを感じる。俺は今の気持ちを正直に話した。勘違いをしていた事、気持ちの整理がつかない事。話ながら途中で泣いてしまうという失態を犯したが、ルートはずっと耳を傾けてくれた。 「ご、ごめん泣いちゃって」 「気にしないで。それより、話してくれてありがとう」 高ぶっていた気持ちを落ち着かせた後、ルートは俺の手を引いて部屋をでた。自分が着ていた白いローブを俺の肩にかけると、頭にフードをかぶせられた。ルートに連れられて歩き出すと、先ほどと同様にドアの前にいた人もついてきた。あんなに歩き回っても見つからなかった正面玄関まであっさりとたどり着き外へ出た。そこから馬車で10分ほど揺られてたどり着いたのは小さな教会のような建物だった。ルートに促されて中に入ると「あ」と声が出た。ここ、俺が最初にいたところだ。 「ここはモシェといって、オーズが現れる場所なんだ」 「俺…最初この水たまりに…あっ!花が」 「そう。それこそミトがオーズという証拠だよ。この水の周りの植物はオーズが現れる前から少しずつ育ち、開花する頃にオーズが現れると言われているんだ。この植物たちはオーズにゆかりのある土地のものだと聞いたことがある」 確かにここの植物は日本で見慣れているものだった。季節感はバラバラだったが、紫陽花に椿、竹や松など昔から日本にあるものばかりだ。懐かしい。懐かしすぎて、落ち着いたと思ったのにまた涙がでてくる。 「ここの植物は君のいたところのもので間違いない?」 椿の花に触れながら大きく頭を縦にふる。 「では貴方は、私たちのオーズだ」

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