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第25話
ケネスが支えてくれたようだ。
「あ、ありが」
「お前がそんなんだと俺がどやされるだろ」
チッと舌打ちが聞こえて離れていく。
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てっきりルートの家に向かうと思っていたのだが、そこは同じ敷地内にある建物だった。中庭を横目に長い廊下を歩いてようやくたどり着いた先には大きく重厚感のある扉。2人がかりで開かれた先には真っ直ぐにカーペットが伸びていて、その右手には白いローブを羽織った人達が一列に並んでいる。その向かい側には何十人もの人がいて、その全員の目がこちらへ向く。ひぇ、なんでこんなに大勢の人がいるんだ。もしかして親戚中呼んじゃったのか?
ローブを着たうちの一人が近寄ってきた。
「みと、今日はありがとう」
「そんな、こちらこそ。友達の家族にこうやって紹介されるの初めてで、その、実はちょっと緊張してて」
「リラックスしてって言っても難しそうだね。早速紹介するよ」
ルートの後をついて部屋の奥に向かう。一見神父のような格好をした男性の隣に立たされて、ルートは列に戻ってしまった。
落ちついたところで男性が皆に向かって何かを喋り始めた。聞きなれない喋り方と単語でさっぱりわからなかったが、多分俺の紹介だろうと思う。人々が食い入るような眼差しで見てくる。思ったより話が長くてますます居心地が悪くなる。ルートには悪いが早く戻りたいなと思っていると、自己紹介を促された。
「え!?えと、観音寺みとよです。ルートには大変お世話になっています。よろしくお願いします。」
そう言って頭を下げる。こ、こんなんでいいのかな?
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