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6-F
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
手を合わせて食事の終わりの挨拶をする佐久間と俺。
只今、午後8時12分。
佐久間の手料理、美味しかったなぁ~。
また、食べたいなぁ~。
さてと。
後片付けをしようと、器を寄せて立ち上がると、
「藤、そのままでいいよ。後片付けはしとくから」
佐久間が俺が寄せた器をヒョイと持ち上げた。
「それより、先風呂入って」
「……」
そうですよね。
佐久間だったら、そう言うと思った。
「風呂場にある入浴剤とか勝手に使っていいからな」
「……」
あのお風呂に入るのか…。
「あ、着替えはあとから持ってくから、今着てる服も洗濯機ん中いれといて。後で回すから」
「…はい」
「お、落ち着かない…」
広々とした湯船なのに、何故か体育座りをしている俺。
デカい鏡がガラス越しに見える。
さっきとは逆のアングル。
「ホテルみたい…。って、こんなホテル泊まったことないけど」
何もかもが我が家と違いすぎる。
ピカピカのカランとシャワーヘッド。
統一されたシャンプー類の容器。
そして、大の大人が優に三人は入れる浴槽。
佐久間がウチに泊まったときに言った言葉を思い出す。
『みんなでお風呂入りたかったねー、なっちゃん』
そう、このお風呂なら……。
「…一緒に入れる」
ギャーーー!!
何考えるんだーーー、俺ーーー!!
「と、とりあえず、体を洗おう!」
慌てて湯船から出る。
頭をゴシゴシ、体もゴシゴシ…。
あ、コレ…。
「佐久間と同じ匂いだ」
そりゃそうか。
ここは、ホテルじゃなくて佐久間の家だもんなぁ。
「…へへっ」
…何か嬉しい。
…顔がニヤけてしまう。
――コンコン――
ん、何か音がした?
その音がした方を見ると…。
「さ、佐久間!?」
な、何で!?
「…着替えとタオル、ここに置いとくから」
そ、そうか着替えか。
「あ、う、うん。ありがと…」
サッと目を逸らしてしまった。
べ、別に男同士だし、他の友達とも、修学旅行とかで裸の付き合いはあったし。
「……」
「……」
で、でも、やっぱり恥ずかしい…。
今更ながらに思う。
何故、ガラス張りなんだ!?
「…じゃ、しっかり温まって出ろよ」
そう言って、佐久間は洗面所から出て行った。
「しっかり温まってって…」
湯船に入らなくても、今の俺は、のぼせそうに熱いです。
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