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7-F

「さ、佐久間、お風呂、ありがと…。お次、どおぞ」 「……ップ!」 おずおずと佐久間の部屋に入る俺と堪えきれない笑いを漏らした佐久間。 只今、午後8時44分。 そ、そんな笑わなくてもいいじゃないか! ってか、佐久間がデカすぎるんだよ!! お風呂から上がり、佐久間が持ってきたスウェットに着替えたのだが…。 「デカい、デカすぎる…」 上は、肩の位置が下がり、袖を上げないと手が全く出ない。 下は、ウエストを常に手で押さえておかないとストンと落ちる。もちろん、裾は二重折り。 逆に、新品のパンツがピッタリだったのが気になるよ。 「ウケるな」 クククッと笑う佐久間。 「笑うな!」 「ごめん、ごめん」 と言いながら、…佐久間、謝る気なんて全くないな! 「藤に合うサイズがなかったんだから仕方ないだろ」 俺の気持ちを察してか、言い訳じみたことを言う佐久間。 「あ、下着のサイズは大丈夫か?」 「う、うん。ピッタリだけど…」 「成長期前に買ったやつ、使わないままだったから。ちょうど良かったわ」 なるほど、そういうことね。 良かった。流石に"準備してた"って言ったら引いてたよ。 「コレ」 「?」 佐久間の隣に腰を下ろすと、厚い本を渡された。 「写真、見てえって言ってたろ。俺が風呂に入ってる間にでも見とけ」 それは、アルバムだった。 佐久間は、俺にアルバムを渡すと、スッと立ち上がって、さっさとお風呂へ行ってしまった。 「……」 シーンと静まった部屋。 「…ちょっとぐらい一緒に見てくれてもいいじゃないか」 ブーっと思いながら、アルバムを開くと、そこには…。 「……か、かわいいぃ」 なっちゃんに勝るとも劣らない可愛らしい女の子と男の子が、仲良く手を繋いでいる写真。 「え、えーっ!この男の子が佐久間!?」 でも、どのページを見ても、男の子はその子だけ。 今の不良イケメンな佐久間からは考えられない。 でも、最近よく見るイタズラっ子の笑顔は、面影があるなぁ。 「えへへ」 俺の知らない可愛い佐久間がいっぱい。 笑顔のちびっ子佐久間に、ちょー癒させれる。 「あ、コレ!」 飛行機の前で、佐久間とパイロットの制服を着た男の人が並んでる写真。 きっとこの人が佐久間パパだ。 佐久間パパはイケメンだけど、佐久間とは違った感じのイケメン。 お昼にあった叔父さんの方が佐久間に似てたなぁ。 でも、この写真の佐久間、嬉しさが溢れ出てる。 「ん?」 その写真をよく見ると、他の写真に比べ厚みがある。 写真が、重なってる? ベリベリとアルバムのフィルムを外して、佐久間パパとの写真を取ると…。 「ふぇ?」 よく佐久間と一緒に写ってた女の子と、別の女の子が一緒に写った写真が現れた。 佐久間には、お姉ちゃんしかいなかったよね? たぶん、他の写真によく一緒に写ってたのがお姉ちゃんだよね? じゃあ、この女の子は? 少しふくっれっつらで、顔を赤らめた可愛いらしい女の子…。 でも…、この顔…、どっかっで…。 ま、まさか…。 「…佐久間?」 びっくりして思わず呟いたら、 「…ご名答」 少しふくっれっつらで、顔を赤らめた可愛いらしいイケメンが、扉の前に立っていた。

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