3 / 77

第3話

「おにぎり作ったから」 「わー、ありがとー!」 「ったく、調子がいいなぁ」 家で朝ごはんを食べている時間がないと思った雅実は、お弁当とは別におにぎりを2個渡してくれた。 ホント、出来た兄がいる俺は幸せ者です。 親は共働きだから、必然的に家事は俺たちにも分担される。 料理が得意な雅実が、基本お弁当担当。 俺も料理が出来ないわけではないが、前述したとおり朝が苦手なので、雅実に任せっきり。 学校は徒歩で約15分。 毎回ギリギリまで寝かせてくれる雅実に感謝しつつ、毎回速足で学校に向かう。 まぁでも、速足なのは俺だけなんだけどね。 身長にもかなりの差がある俺達。 170cmちょっとしかない俺に対し、185cmもある雅実。 10cm以上も差があれば、足のリーチにも差がでるわけでして。 「雅人、大丈夫?」 「大丈夫、大丈夫!遅刻は勘弁だから、このペースで良いよ」 「そうだね。雅人が早く起きないのが原因だしね」 「そうそう俺の自業自得…って、そんな身も蓋もないこというなよー!」 「はいはい。それじゃ、急ごうか」 俺のノリツッコミにも、ハハッと笑ってくれる。 雅実はホントに優しい。 でも、イケイケ外国人のような見た目から、いつも怖がられる雅実。 生まれたときから一緒な俺は、あんま気にしたことないけど、本人は結構気にしてるようで。 だから、制服は着崩すことなくきっちり着てるし、髪型も特にセットはせずナチュラルにしている。 まぁーそれはそれで真面目度が上がり、声をかけづらくさせてるんだけど…。 本人が気にしてる分、言いづらい。 結局、学校には始業10分前に到着。 靴箱で上履きと履き替えていると、 「おはよう、雅実」 「お、おはよう…」 「おはよう、雅人」 「おはー!」 デターーー!! この物語のもう一人の主人公、寺島晶(てらじま あきら)のお出ましダー!

ともだちにシェアしよう!