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第22話
「おっ、ナニナニ!?それ、まさみんが作ったの?」
寺島が感嘆としていると、隣で食べていた雅実のクラスメイトがこっちを覗いてきた。
「すっげー……。ちょー美味そうじゃん」
「うんうん、美味そう!一個くれよ、寺島!」
そう言いって手を伸ばしてきたクラスメイト。
「ちょ、何取ろうとしてんだよ!」
その手を叩き、慌てて死守する手島。
「そんだけあんだから、一個ぐらいいいだろ」
「そーだ、そーだ!」
「ダ・メ・だ!!コレは、雅実が俺のために作ったやつなんだから。誰がやるか!」
ブーブー言うクラスメイトに、何が何でもおかずをやろうとしない手島。
「あのー……、松田君、広瀬君。俺の取って?今日、自分のも多めに詰めてきたから」
見かねた雅実が、自分のお弁当箱を差し出した。
「マジで!?」
「わーい!まさみん、ありがとー!!」
「待て待て!それじゃー、雅実のおかずがなくなる!雅実、コイツらにやんなくていいからな!」
「ハーッ!?寺島、お前、いつもまさみんのおかず食べんじゃん!」
「大体、まさみんがいいって言ってんだぞ!お前みたいにちゃっかり取るんじゃなくて、正当な方法で貰うんだからな!」
「なっ、お前ら、俺たちの昼飯見てたのか!?」
「そりゃあ俺たちも、まさみんと一緒に食べたかったし」
「そーだそーだ!」
ももチャンの言ってた通りだ。
雅実、お前、人気者なんだな。
ガヤガヤ言ってる寺島とクラスメイトを、微笑ましく見てる雅実。
そんな雅実をちょんちょんとつつくと、"ん?"と言ってこっちを向いた。
「雅実、良かったな」
片手で口元を隠し、こっそり伝えると、
「うん」
満面の笑みで頷いた雅実。
「ちょいちょい、何双子で話してんの?」
いつの間にか、こっちを向いてた寺島。
そんな鋭い目で見るな!
俺は、雅実の弟だぞ。敵視しすぎだろ。
「な、何でもないよ」
ほーら、お前がそんな目で俺見るから、雅実が慌てんじゃんか。
もう、そんな寺島なんて無視だ、無視!
「あ、いつも雅実がお世話になっておりまーす。弟の雅人でーす。もし良かったら、俺のおかずどーぞ」
「え、いいの?!」
「俺も貰ってい?」
もちろん、もちろん。
これらキミ達には、雅実と寺島の情報を聞かせてもうらうから。
「いいぞ、いいぞ。どんどん取ってけー」
……って、
「オイ、寺島。お前が言うなや」
「雅人はいつも雅実の料理食ってんだろ。弁当のおかずぐらい恵んでやれよ」
「…寺島。マジお前、調子のんな」
「お前こそ、弟だからって、雅実に甘えんなや」
「ハーッ?!」
「アァーッ?!」
――ガサガサ――
「「ん?」」
雅実が、俺と寺島のお弁当を自分の方に寄せてる。
雅実、何してんの?
「二人とも…ケンカするんならお弁当没収な」
えーーーっ!!
「わー、違う違う!!コレ、ケンカじゃなーいよ!?」
「そそ、ケンカじゃないから、雅実の弁当食べさせて!」
雅実、俺と寺島は仲良しだぞー!
ほーら、握手なんかしちゃてるぞー!
たーだ、すげーいてーぞー!
コイツ、地味に力入れてるぞー!
「よし、じゃあもう一回、"いただきます"」
「「いただきます!」」
「まさみん、マジオカンだな」
「だな」
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