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第24話

俺たちが小学生のとき。 雅実は、"外国人にみえる"ということでイジメを受けていた。 初めて雅実とクラスが別々になった、小学5年生。 クラス変え後、暫くして雅実の優しい笑顔が、徐々に貼り付けたような笑顔に変わっていった。 最初は、 『初めて雅人と別々のクラスになって、寂しいから』 と言われ納得していたが、1ヶ月経っても変わらず。 それどころか、辛そうな笑顔になっていった。 あまりの雅実の変化に心配になって、昼休みにこっそり雅実の教室に行ってみた。 しかし、中に雅実はいなかった。 雅実のクラスメイトに聞くと、給食の時間が終わって直ぐに教室を出ていったと言われた。 本好きの雅実だから図書室かなと思い、俺は、雅実のクラスから別館にある図書室へ向かった。 そしてその途中で、遭遇したのだ。 「おーい、佐々木、英語喋れよ、英語」 「……」 「アレー無視?あ、外国人だから、日本語分かんねーのか」 「スピーク、イングリッシュ。スピーク、イングリッシュ」 「……」 図書室へ向かう階段の踊り場。 雅実のクラスメイトとおぼしき数人。 そいつらは、雅実を囲んで嘲笑っていた。 雅実は、ただ黙って俯いたまま。 「実はお前、どっかで拾われたんじゃねーの」 その一言にカッとなった俺は、雅実を嘲笑っているクラスメイトに、勢いよく殴りかかっていた。 突然現れた俺に驚いた雅実のクラスメイト数人。 その内の一人に、俺が一発お見舞いすれば、そのまま取っ組み合いのケンカに。 まだ、俺と雅実に体格差がなかった当時。 クラスメイトから、俺を必死に引き離そうとする雅実を振り払い、なおも殴りにいった俺。 そのケンカは、たまたま近くを通った先生に止められるまで続いた。 結局、喧嘩両成敗ということで、俺と殴り合った雅実のクラスメイトは先生にこっぴどく叱られた。 そんな俺に、雅実は、 「ありがと雅人。ごめん雅人」 と感謝と謝罪を何度も繰り返した。 そして、雅実は人見知りになった。

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