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第25話
イジメの本当の原因は、顔じゃなかったと思う。
ただ、日本でアジア人種に見えない顔が、イジメの口実にピッタリだったのだろう。
大きくなるにつれ、身長も含め、容姿を羨ましがられるようになった雅実。
だけど、第3話でも述べたましたが、怖がられることも多く、ましてイジメまで受けていたのだ。
"外国人に見られる"ことは、雅実にとって、いまだマイナスのイメージしかない。
だから、顔のことを言われるといつも俯く。
たとえそれが褒め言葉であっても。
「雅実はそのスカウトとか断ってんの?」
「……うん。俺、あんまそう言うの興味ないから……」
「マジか!?俺がまさみんだったら、即受けるわ」
「俺も俺も!」
浮かない笑顔で視線を落とす雅実。
どうにかして話を違う方向にもってかねーと…。
「でも、それで言うなら寺島もそうじゃね?タッパあんじゃん」
「あー中学んときに声かけられたことあるけど、今はガタイいいから、多分ダメだわ」
「お前の場合、ガタイ云々じゃなくて、モードな感じが出ないから無理だろ」
「そそ、まさみんは立ってるだけで様になるけど、寺島はねー。モードって言うより獰猛だよ」
「お前ら、竹刀でボコボコにすっぞ」
「そーゆーとこだよ」
ヨシ、それだ!!
「あ、寺島!今度の土日、試合だろ?」
「ああ」
「どこであんの?」
「総合体育館」
「雅実、見に行こうぜ!寺島の試合」
「え?!」
「マジ、雅実来てくれんの!?」
雅実はまだ何も言ってないのに、来ること前提で目を輝かせる寺島。
「じゃー俺たちも行こうぜ、まっつん!」
「お前らはいい」
「なにそれー!寺島、マジ、まさみんと扱い違くねー!」
「今更だろ。それに、俺、すでに予定あるから無理」
「えーっ、まっつん行かないのかー。なら、俺も行ーかない」
「だから、お前らは来なくていいから」
再びガヤガヤ言い合っている寺島とクラスメイトを横目に、雅実に小声で話しかける。
「雅実、土日は特に予定なかったろ?」
「う、うん」
「じゃ、見に行こう、寺島の試合」
「……そうだね」
「だーかーらー、何またコソコソ双子で話してんの!」
だーかーらー、何また鋭い目で俺を見るの、寺島!
「お前の、無様な姿を見に行こうって言ってたんだよ」
「ッチ!雅人、お前、俺の強さに驚愕すんなよ」
「ッヘ!おごれる者久しからずだよ」
「ハーッ?!」
「アァーッ?!」
――ガガガーーーッ――
「「ん?」」
雅実が、机を離している。
雅実、まだ昼休み時間あるよ?
「二人とも…ケンカするんなら暫く話さないから」
えーーーっ!!
「わー、違う違う!!コレ、ケンカじゃなーいよ!?」
「そそ、ケンカじゃないから、雅実とおしゃべりさせて!」
雅実、俺と寺島は仲良しだぞー!
ほーら、肩なんか組んでるぞー!
たーだ、すげーいてーぞー!
コイツ、地味に上から力入れてるぞー!
「ホント、二人とも仲良くね」
「「ハイッ!」」
「コレ、デジャヴだな」
「だな」
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