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第28話

「出たよ、寺島君!!」 「どこどこ!?」 「面しててもカッコイイ!」 「ちょっと、見えない!」 騒めきの原因は、寺島だった。 隣の女子達が盛り上がっている。 「私がファンクラブのこと言わなくても、この状況で察しはつくでしょ?」 アンジーみたいに片眉をあげてニヤリとするももチャン。 ゔぅぅぅ…言い返せない。 「……なぁ、雅実、寺島どこ?」 もう俺の負けだ。 騒めきの元を探している雅実に逃げる俺。 「たぶん…いや、絶対アレだ…」 雅実が指さした方を見ると、 「……うん、アレだな」 一際(ひときは)デカい人物。 「わー、やっぱり寺島君目立つねー!」 寺島を見つけて呑気な声を出すももチャン。 寺島、オーラで目立つというより、デカさで目立ってるわwww こりゃ、突っ込むネタになるな。ヒヒッ! 「それにしても、相手、ちょービビってね?」 「いや、ビビるでしょ。ただでさえデカいのに、防具つけたら一層デカイよ、きっと」 想像する。 「確かにこえーな」 しかも、面の隙間から、あの鋭い目つきされたら……、コワッッッ!! 雅実もうんうんと頷く。 けど、雅実。お前は大丈夫だぞ。 「二人とも、始まったよ、寺島君の試合!」 俺と雅実が身震いしてると、ももチャンが俺の肩を叩いた。 俺たちは、寺島に目を戻す。 瞬殺だった。 完全に逃げ腰の相手は、寺島の一歩に対応出来ず、綺麗に面を決められていた。 その後の試合も、寺島は圧倒的な強さで瞬殺。 順当に勝ち進んでいった。 俺、今まで、すげー奴と口喧嘩してたんだな……。 自分の命の為にも、今後アイツとの接し方を考えなければ……。

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