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第33話
「もぉー、マジサイコーだったんですけどぉー!!」
両手で口元を押さえ、興奮も一緒に押さえつつ、言うももチャン。
俺とももチャン、只今、駅前のマッ〇でお茶してまーす。
雅実は?って。
雅実は"借りたい本があるから"と、俺たちに遠慮して図書館へ。
ホント……。
俺たちに気を使うより寺島に気を使え、雅実。
「ももチャン、何が"マジサイコー"なの?」
バニラシェイクを飲みながら、さっきからどこか夢の中なももチャンに聞く。
「えっ、分かんないの、雅人?!」
バッと、目を見開くももチャン。
こ、怖いよぉ〜((泣))
「あの二人のイチャイチャに決まってるじゃないのーーー!!」
「で、ですよねぇ〜……」
としか言えない。
「見た、あの雅実君!!ちょっと恥ずかしそうに、だけど一所懸命、試合での寺島の勇姿を伝えてるの!寺島君本人に!!そんな雅実君を見て、寺島君も嬉しそうにウンウン頷いてんの!二人だけの甘い世界!男前の雅実君と爽やかな寺島君だから絵になるし!もー、私をどうする気よー!」
「……」
何も言えねー。
さっきの雅実&寺島を回想して、ニコニコ、ニヤニヤ、ニマニマ、とせわしなく顔を変えるももチャン。
時折、"ぎゃ"やら"うへぇ"やら奇怪な声を発する。
彼女じゃなかったら近寄らない。
いや、彼女でも出来れば避けたい。
だって、完全に危ない人だから。
「ホッッッント、いつも見てる雅人が羨ましいー」
と言って、ももチャンは"ハーッ"とため息をついた。
「そうだ!今度、私も一緒にお昼して…あ、じゃなくて!雅人、今度何か用事を作って、お昼を二人だけにして!そのとき教えて!」
「い、いいけど。何でまた二人のときに来るの?」
「え、私は二人と一緒にお昼は食べないからね?」
「は?」
「遠くから見るの…二人の織り成す青春恋愛物語を…」
恍惚とした表情で、遠くを見るももチャン。
俺は、バニラシェイクをちゅーちゅー吸いながら思う。
ももチャンが近いけど遠い。
俺的には、雅実と寺島の恋物語より、俺とももチャンの恋物語を織り成したいなぁー。
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