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第34話
「……ぐふふ」
「……なぁ、雅人どうしたんだ?」
「あ、まぁー良いことがあったんだよ、きっと」
いつもの並びでお昼を食べる俺たち。
俺を訝 しる寺島と、何となーく事情が分かっている雅実。
でも、ぜーんぜん、気にしなーい!
俺の心は、今日の天気の様に晴天なのさぁ〜((喜))
「良いことがあると、毎回ああなのか?」
「えーっと、ももチャンの事限定か、な?」
「……あ。あーね」
勘のいい寺島は、雅実のひと言で察しがついたようで。
俺の気持ちが通じたのか、マ〇クを出たら、ももチャンがすぐに手を繋いできまして。
そのままご自宅に案内されまして。
もちろん、ももチャンの部屋への直行便!
それから素敵なフライトを過ごしたわけでして。
「きゃは!!」
「…なぁ、お前の弟大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫。デートの次の日は、いつも旅立ってるから。そのうち帰ってくるよ」
「雅実には悪ぃけど……、よくこんなキモい奴と一緒にいれるな」
「ううん、全然悪くないよ。俺も、弟じゃなかったら、絶対関わんないから」
サラッと酷いことを言ってる二人だが、今日の俺っちはすこぶる機嫌が良い!
見逃してやろうではないか!
「あー、それにしても、今度の期末のこと思うと憂鬱だなー」
憂鬱ですか……そうですか……。
それなら寺島に、ナイスなアシストを出してやろうではないか。
なんてったって、今日の俺っちはすこぶる機嫌が良いから!
「じゃあ、雅実に教えてもらえば?なぁー、雅実?」
「え!?」
「え、あ、いいけど…」
「マジ!?」
目を見開き、ガバッと起き上がる寺島。
今しがた寝っ転がったばかりではないのか、寺島?
「寺島はいいの?俺で?」
「何謙遜してんの。雅実教えるのめっちゃ上手いじゃん。雅実センセーはオススメ講師ですよ、寺島クン」
「是非!是非とも、雅実先生に教えていただきたいです!」
両手で雅実の手を握り、懇願する寺島。
まさに、主人にクーンクーンと甘える大型犬。
「わ、分かった!分かったから!!て、手を離せ、寺島!!」
「マジありがとう、雅実!!」
雅実じゃなくて、俺に感謝したまえ、寺島クン。
でも、今日の俺っちはすこぶる機嫌が良い!
許してやろうではないか!
寺島の急接近に慌てる雅美と、気にせずグイグイ距離を詰める寺島。
――ぴいーひょろろーーー――
空を見上げると、鳶 が気持ち良さげに飛んでいた。
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