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第35話

テスト1週間前。 部活は、この期間は活動禁止。 放課後、雅実のクラスでテスト勉強開始。 「ここに、この公式を当てはめれば……」 「あ、解けた!」 「ホントだーーー!解けたーーー!」 「…って、何で広瀬がいんだ」 ブスくれた顔で広瀬を見る寺島。 雅美と対面する形で机を並べ、左から、俺、寺島、広瀬。 そう、何故か広瀬がいる。 「へへっ!だってまさみんがー、何かソワソワしてたから"どしたのー?"って聞いたらー、放課後寺島とテスト勉強るすって言うからー、"ずりー俺も一緒に教えてほしいー"って言ったらー、まさみんが"良いよ"って。ねー、まさみん!」 「うん。二人に教えるも三人に教えるのも一緒だし」 「確かに一緒だけども……」 俺が一緒なのは想定内だったと思うが、さも当たり前のようにいる広瀬に、やっぱり納得いかない顔の寺島。 「さ、それより、テスト勉強、テスト勉強!とりあえず、雅人のレベルに合わせていくから、二人とも、分からないところがあったら言って」 「はーい!!」 「……はい」 ただ、てぃーちゃーモードに入った雅実は全く気づかない。 ごめんな、寺島。雅実がマジ鈍感で。 俺も、二日目以降は何かしら言い訳して、二人っきりにさせるつもりだったんだけど……。 まさかの広瀬が参戦とは。 「ねーねーまさみん、ここが分からんです」 「あ、ここは……」 しかもがっつり質問して雅実を独占。 そしてまた雅実が優しぃ。 雅実の半分は優しさで出来ているのは知っているが、その優しさは寺島に使ってやれぇ。 「すげー!!まさみん天才!!ちょー分かりやすーい!!」 ったく、広瀬!! お前は、もう少し空気を読めぇ!! 「雅人、寺島、二人はどお?解けそ?」 「うん。この辺はわりかし出来るわ」 「寺島は?」 「……」 「寺島?」 ほーら。寺島、完全に拗ねてるぞー。 「うん、寺島も出来てるね。ってか、先に進んでんじゃん!」 「……」 「しかも、しっかり解けてるし!凄いよ!」 「……そぉ」 「もしかして、寺島、数学得意?」 「……ぼちぼち」 「そっか!じゃあ、今度はこの問題な?」 「……ん」 「数学の得意な寺島なら、きっとすぐ解けるよ!」 「……うん」 解説しよう。 てぃーちゃーモードの雅実は、懇切丁寧がモットーで、生徒に合わせてしっかり分析する。 加えて、普段以上に優しい。そう、褒めて伸ばすタイプなのだ。 「……雅実、解けた」 「うん、見せて寺島。……凄い、完璧じゃん!寺島、応用問題もばっちりだよ!」 「そ、そうかぁ」 キラキラと褒める雅実の笑顔に、不機嫌だった寺島が照れながらもまんざらでもないない顔に。 ……うん、完全にいつもと立場が逆転してるな。 「まさみーん!俺も出来たよー!見て見て!」 「……うん、広瀬君も凄い!さっきの公式ちゃんと使えてる!」 「でしょでしょ!!」 「雅実、次の問題は?」 「おぉ、寺島、やる気スイッチ入った?それじゃあ、この問題とかどおかなぁ〜」 「まさみん、俺も次の問題!!」 雅実の術中にハマった寺島と広瀬は、きっと成績が確実に10は上がるだろう。

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