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第36話
テスト3日前。曇天の金曜日。
「センセー、ベッド貸してー」
「あら、佐々木君どうしたの?頭痛?」
「んー、頭痛い……」
テストのストレスと気圧の変化で、偏頭痛がする。
天気予報を見て、朝から怪しいなとは思っていたけど……。
「薬は?」
「飲んだけど痛い…」
頭痛持ちの俺は、ロキソニンを常に携帯。
1年の頃から、イベントや季節の変わり目には保健室を利用している。
「利用者名簿書けそう?」
「んー、後でいい?」
「いいわよ。落ち着いてからで」
定期的にお世話になっているので、保健室のセンセーも俺の偏頭痛を理解している。
俺がベットの端に座ると、センセーが静かにカーテンを引っ張った。
「先生今から会議があるけど、一人で大丈夫?」
「うん…。いつもの偏頭痛だから、寝れば大丈夫」
「じゃあ横になって、ゆっくり休んでなさい」
「……ん」
今の時間俺以外に利用者はいないようで、センセーはカーテンを閉めると、すぐに出ていった。
俺も痛さの限界で、眉間に皺を寄せたまま横になった。
――ガラガラガラ……――
……ん……扉が開く音?
……センセー?
「……ま…だ…」
「だ……」
いや、センセーじゃない。
この、声……。
小声で話してるけど、静かな保健室では確かに聞こえる。
まだ少し痛む頭を抑えつつ、音を立てないようにゆっくり起き上がる。
そして、閉まっているカーテンを少しずらして、ベットの反対側を覗き見る。
「て、寺島、大丈夫だから」
「大丈夫じゃないだろう、雅実」
やっぱり、雅人と寺島だった。
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